新納慎也ら“演劇人”が支える日曜劇場 ゲスト俳優の存在から読み解く『キャスター』の強み

新納慎也ら“演劇人”が支える日曜劇場

 阿部寛が主演を務めるドラマ『キャスター』(TBS系)に“演劇人”が次から次へとゲスト俳優として登場。「日曜劇場」らしい骨太な展開の数々を、一人ひとりの硬軟自在な演技が支えている。最新話である第6話に登場するのは新納慎也だ。第5話には緒川たまき、手塚とおる、安井順平といった演技者たちが集結し、アツくスリリングなドラマ展開を繰り広げた。“演劇人”たちの存在はやはり心強いものがある。あれはいったい何なのだろうか。

 本作『キャスター』は、そのタイトルから想像できるとおり、テレビ局の報道番組を物語の主な舞台とした作品だ。主演の阿部が演じる進藤壮一は、「世の中を動かすのは真実!」という信念を持つ男。公共放送の社会部記者などとしてキャリアを積み上げてきた人物だ。民放テレビ局である「JBN」の会長に引き抜かれたことによって、視聴率低迷にあえぐ報道番組『ニュースゲート』のメインキャスターに就任したのだ。そう、報道の常識をぶっ壊すためにである。

 ゲストに演劇人が揃っていると先述したが、主演の阿部もまた、演劇の世界でその才能を開花させた俳優だ。つかこうへいが作・演出を手がけた『熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン』が彼の俳優人生の転機となったことは広く知られているだろう。

 同作は多様な名優を生み出してきた演目『熱海殺人事件』の数あるバージョンのひとつで、のちに“名優”となる俳優たちが主人公の木村伝兵衛部長刑事を演じてきた。『キャスター』の第2話でバレーボールのトレーナーの今井和彦を演じた味方良介、第4話の女子中学校で起きた事件の犯人を演じた馬場徹もそのひとり。演劇ファンにとっては胸が熱くなる並びである。

 第1話から髙﨑俊吾や黒田大輔といった舞台経験の豊富な俳優たちが姿を見せてきたが、冒頭に記しているとおり、第5話には“演劇人”が集結していた。

 物語は、ディレクターの梶原(玉置玲央)が警察官による暴行事件のもみ消し情報を入手したことからはじまった。やがて彼と旧知の仲である赤坂南署の竹野署長(緒川たまき)が内部告発をしたいと申し出たものの、彼女は取材に応じるどころか、まさかの暴行事件自体を否定する緊急会見を開いた。そうして、局内の内通者が情報をリークした疑いが浮上し、警察と「JBN」全体を巻き込んだ大問題に発展したのである。

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