『ぼのぼの』など充実のトークイベントも 「新宿東口映画祭2025」注目作品を一挙紹介!

「新宿東口映画祭2025」はイベントも充実!
『アイアン・ジャイアント』©1999 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

 アニメ作品は今年も充実している。声優として中森明菜も参加した、太宰治の有名な小説を基にした劇場アニメーション『走れメロス』(1992年)、はるき悦巳の漫画を原作としたTVアニメの劇場版で、高畑勲監督作でもある『じゃりン子チエ』(1981年)、そしてアメリカの天才監督ブラッド・バードの劇場初監督作品にしてカルト的な人気のある『アイアン・ジャイアント』(1999年)が上映される。『アイアン・ジャイアント』の一部上映回では、よしひろまさみちが作品の魅力を語るトークショーも催される。

『チャージマン研!』©ICHI

 注目したいのは、本映画祭初の試みとしておこなわれた、ファン投票で上映作品を決めるという企画。選ばれたのは、あのショートアニメ『チャージマン研!』である。『チャージマン研!』といえば、低予算、厳しいスケジュールなどの事情によって尺を埋める独特の間が存在していたり、強引なストーリー展開が後年話題となり、逆にカルト的な人気を集めるようになった作品。なかでも常軌を逸した伝説の回が、いくつもピックアップしたかたちで、今回上映されるのだ。

 『チャージマン研!』が映画館のスクリーンで楽しめる機会は、そうそうない。いったい劇場内がどんな雰囲気になるのか、気になって仕方がない。上映回では、株式会社ICHI(旧・制作会社ナック)の代表取締役・吉野百子、河野義勝(武蔵野興業株式会社 代表取締役社長)の特別対談も予定されている。

『Dr.カキゾエ 歩く処方箋〜みちのく潮風トレイルを往く〜』©Dr.カキゾエ歩く処方箋映画製作委員会

 新作として今回プレミア上映されるのは、『Dr.カキゾエ 歩く処方箋〜みちのく潮風トレイルを往く〜』。これは、82歳になる「Drカキゾエ」こと医師の垣添忠生が、青森県八戸から福島県相馬までの1025キロを歩いて回るドキュメンタリー。道中に出会った、東日本大震災を生き抜いた人々とのふれあいを通して、ある気づきが語られる。

『ベン・ハー』写真提供:マツダ映画社

 とくに、「映画祭」を経験したことのない方や、古い映画作品にあまり馴染みがない方に、おすすめしたいのは、映画史における重要作『カリガリ博士』(1919年)や、『【活弁】「映画でよむ」~無声映画篇~『ベン・ハー』』『【活弁】「映画でよむ」~クラシックアニメ篇~』などのプログラム。

 話題の新作映画を楽しむのも良いけれど、古着屋やヴィンテージショップで唯一無二のアイテムに出会うように、普段なら関わらない作品に会いに積極的に劇場に出向いて、映画館の息吹を味わう経験は、貴重な財産になるはず。ファッションや音楽が、いつでも過去のスタイルを参照しているように、過去の名作を観るたびに、「自分の目」も養われていく。「新宿東口映画祭」は、そんな機会を提供してくれるのだ。

 「新宿東口映画祭」は、多くの映画祭に比べ、“街”や“人”に近い。前半は落語とトーク、後半は落語を通して人々の交流や成長を描いた映画『しゃべれども しゃべれども』(2007年)を上映する、レガス出張落語会とのスペシャルコラボイベント「~シネマカリテで落語を~」では、映画と寄席の文化が根付く街の映画祭ならではの劇場体験が味わえるだろう。

 唯一無二の劇場体験といえば、「新宿東口映画祭」と同時開催される提携企画「カツベン映画祭」にも注目してもらいたい。まだ映画に音声がなく、映画が「活動写真」と呼ばれていた時代、「活動弁士」という、劇中のセリフや状況を語る役割を担う人々や、音楽を奏でる「楽士」たちが多数活躍していた。そんな時代のスタイルが、この映画祭では再現され、喜劇王・チャップリンのコメディや、テイラー・スウィフトの楽曲のモデルとなった伝説のスター、クララ・ボウのラブコメディ『恋人強奪』(1927年)など、さまざまなタイトルが上映される。

 「第五回カツベン映画祭」でも、澤登翠などをはじめとする現役活動弁士、現役の楽士やミュージシャンが、生でパフォーマンスをおこなうという、豪華な劇場体験が楽しめる。ゲスト弁士としてフリーアナウンサー笠井信輔、茅原ますみ夫妻も登場予定。配信やソフトでは実現できない、まさに「一期一会」の魅力が、ここにあるのだ。

 新宿の歴史を見つめてきた映画館、「新宿武蔵野館」、「シネマカリテ」。街が急速に変遷を遂げていくなか、いまだ変わらないのは、そこで映画を楽しんできた人々の、映画を愛する精神だ。そしてスクリーンに映る映像の奥に、何があるのかを知りたいと思う好奇心も健在だろう。アクセスのしやすい新宿の真ん中に気軽に足を運んで、映画を「よむ」体験を、思う存分味わってほしい。

■イベント情報
『新宿東口映画祭2025』
5月23日(金)~6月5日(木)14日間開催
会場:新宿武蔵野館(東京都新宿区新宿3-27-10 武蔵野ビル3F)、シネマカリテ( 東京都新宿区新宿3-37-12 新宿NOWAビルB1F)

【イベント】
・『ぼのぼの』 いがらしみきおトークショー&サイン会
日時:5月23日(金)19:45の回
上映後会場: シネマカリテ
登壇者:いがらしみきお(原作、監督、脚本)、藤津亮太(アニメ評論家)

・いがらしみきおサイン会
トークショー終了後、いがらしみきおのサイン会を開催。サイン会の参加には、サイン会用鑑賞券(サイン用書籍付)の購入が必要(完売)
※セットに含まれる『ボクたちの森のこと』にサイン。色紙や他書籍などの持ち込みとサイン依頼は固くお断りします

・『アイアン・ジャイアント』 よしひろまさみちトークショー
日時:5月28日(水)19:45の回上映後
会場:シネマカリテ
登壇者:よしひろまさみち(映画祭ナビゲーター、映画ライター)

・『チャージマン研!』特別対談イベント
日時: 5月29日(木)19:45の回上映後
会場:シネマカリテ
登壇者:株式会社ICHI代表取締役・吉野百子、武蔵野興業株式会社代表取締役社長・河野義勝

・『Dr.カキゾエ 歩く処方箋~みちのく潮風トレイルを往く~』垣添忠生、野澤和之、田寺順史郎 トークショー
日時:5月31日(土)10:00の回上映後
会場:新宿武蔵野館
登壇者:垣添忠生(医師)、野澤和之(映画監督)、田寺順史郎(映画プロデューサー)

・『美しい星』 吉田大八トークショー
日時:5月31日(土)12:40の回上映後
会場: 新宿武蔵野館
登壇者:吉田大八(映画監督)、よしひろまさみち(映画祭ナビゲーター、映画ライター)

・『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』 石井裕也トークショー
日時:5月31日(土)17:40の回上映後
会場:新宿武蔵野館
登壇者: 石井裕也(映画監督)、ミヤザキタケル(映画アドバイザー)

・『君の名前で僕を呼んで』よしひろまさみち トークショー
日時:6月2日(月)19:50の回上映後
会場:新宿武蔵野館
登壇者:よしひろまさみち(映画祭ナビゲーター、映画ライター)

※登壇者は予定につき、予告なく変更となる場合がございます。予めご了承ください。
※上記のトークイベントは予定です。やむを得ない事情により中止となる場合もあります。映画上映のみが行われる場合でもチケットの変更や払い戻しはできませんので、予めご了承ください。

【チケット情報】
●鑑賞料金(全て税込)
〇新作:2,000円均一 (『Dr. カキゾエ 歩く処方箋~みちのく潮風トレイルを往く~』のみ)
〇旧作:1,500円均一
〇活弁無声映画作品:2,000円均一
※「映画でよむ」~クラシックアニメ篇~は「カツベンファミリー割」あり。保護者1名につき、同伴の中学生以下が2名まで1,500円で鑑賞可能
〇第五回カツベン映画祭作品:2,000円均一
〇スペシャルコラボ企画『しゃべれども しゃべれども』~シネマカリテで落語を~:2,500円均一

<オンライン予約>
シネマカリテ上映作品:5月17日(土)0:00より全作品販売開始
武蔵野館上映作品:5月24日(土)0:00より全作品販売開始

<劇場窓口>
シネマカリテ上映作品:5月17日(土)開館時より全作品販売開始
武蔵野館上映作品:5月24日(土)開館時より全作品販売開始
第五回カツベン映画祭:5月16日(金)12:00よりオンライン予約サイト、劇場窓口にて販売開始

※電話でのご予約は受け付けておりません。
※チケットが完売次第、販売を終了します。
※チケットご購入後の変更、払い戻しは致しません。
※各種割引サービスは適用外となります。
※特別興行につき、株主優待券(証)株主優待割引・招待券はご使用になれません。
※【第五回カツベン映画祭】では「映画鑑賞チケット(武蔵野館、シネマカリテ共通券)」はご使用になれません。

後援:新宿区/公益財団法人新宿未来創造財団/一般社団法人新宿観光振興協会
協力:新宿東口商店街振興組合/国立映画アーカイブ
協賛:UNIQLO新宿東南口フラッグス店
公式サイト:https://filmfest.musashino-k.co.jp/
公式X(旧Twitter):@shinjuku_f_fest

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