『波うららかに、めおと日和』芳根京子の泣きの演技は天下一品 なつ美と瀧昌の縮まる距離

『めおと日和』芳根京子の泣きの演技に感動

 そんな彼女を励ますために、瀧昌は自分の髪を切ってもらう。それは亡き両親が行っていた儀式のようなもの。瀧昌と同じく海軍士官だった父は出立の際、「後ろ髪を断ち切るという決意と、必ず帰るという約束」の意味を込めて必ず母に髪を切ってもらっていたという。きっと母もハサミを入れるたびに、「無事で帰ってきてほしい」という願いを込めたのではないだろうか。

 だが、父は任務中に行方不明となり、そのまま帰ってくることはなかった。それはとても悲しいこと。けれど、人は亡くなっても、すべてが跡形もなく消えることはない。父の死で一度は途絶えた両親の約束は時を経て、瀧昌となつ美に受け継がれ、続いていく。「毎年夏は蛍を見にいく」という瀧昌となつ美の約束も江端家の恒例行事となり、いつか生まれる子供や孫の代まで続いていくのかもしれない。想像しただけで、なんだか胸の奥が熱くなるのを感じた。

 儀式を経て瀧昌を笑顔で送り出したなつ美は、海軍士官の妻たちが集まる「花筏(はないかだ)の会」に参加する。やんごとなき雰囲気の中、緊張で不器用さを発揮し、会長の光子(筒井真理子)にさっそく指摘を受けるなつ美。そんな彼女を救ったのは、光子の姪にあたる芙美子(山本舞香)だった。芙美子は当時、“職業婦人”の中でも花形とされた現役のタイピスト。見目麗しいだけではなく、冷静で聡明な自立した女性だ。一見、タイプは正反対だが、なつ美は持ち前の素直さで芙美子の懐にスルッと収まる。瀧昌との恋愛模様はもちろんのこと、なつ美個人の世界の広がりにも注目していきたい。

『波うららかに、めおと日和』の画像

波うららかに、めおと日和

西香はちによる同名コミックを原作としたハートフル・昭和新婚ラブコメ。昭和11年を舞台に交際ゼロ日婚からスタートする、歯がゆくも愛らしい“新婚夫婦の甘酸っぱい時間”を丁寧に描く。

■放送情報
『波うららかに、めおと日和』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演者:芳根京子、本田響矢、山本舞香、小関裕太、小宮璃央、咲妃みゆ、小川彩(乃木坂46)、戸塚純貴、森カンナ、高橋努、紺野まひる、生瀬勝久、和久井映見ほか
原作:西香はち『波うららかに、めおと日和』(講談社『コミックDAYS』連載)
脚本:泉澤陽子
音楽:植田能平
主題歌:BE:FIRST「夢中」
プロデュース:宋ハナ
演出:平野眞
制作協力:FILM
制作著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/meotobiyori/
公式X(旧Twitter):https://x.com/meotobiyori
公式Instagram:https://www.instagram.com/meotobiyori/
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@meotobiyori

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「リキャップ」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる