『あなたを奪ったその日から』偽りの未来の代償は? 無戸籍の子どもの課題に光を当てる

『あなたを奪ったその日から』(カンテレ·フジテレビ系)第3話では、本当の親子になるためのステップが描かれた(※本記事ではドラマ本編の内容に触れています)。
紘海(北川景子)は誘拐した萌子(倉田瑛茉/前田花)を、自分の娘・美海として育てることにした。3年の月日が経過し、すっかり打ち解けた2人だが、美海の存在は周囲には伏せていた。ふとした瞬間、紘海の心に影を落とすのは、亡くなった実の娘の灯(石原朱馬)であり、加害者で美海の父親である結城(大森南朋)のことだ。結城に不幸でいてほしい、別人のように変わってほしいと願う自分に、紘海は気づいていた。
秘密を抱える日々は、周囲からどんなふうに見えるだろうか。穏やかな日常に眠る不安と後悔。その存在に気づいて目をそむけても、見ないわけにいかない。いつか現実と対峙するタイミングが訪れる。紘海にとってのそれは、美海との未来を描いたときだった。
電車が好きな美海は車掌になりたいと話す。戸籍がないことは、進学や就職の道が閉ざされることを意味していて、紘海は現実を突き付けられる。美海は他人であり、自分は親ではないという現実だ。どんなに強い絆で結ばれていても、超えることのできない壁があり、法律と制度がその壁を守っている。美海との生活を望む紘海ができるのは、偽ることで自分たちの居場所を作ることだった。
出生届が出されないなど、戸籍に記載されない無戸籍児は1万人規模でいると推定される。なんらかの事情で社会に投げ出された彼らに光が当たりつつある中で、紘海の取った行動は現実と隣り合った想像力を刺激した。
実の親子であることを証明するために、離婚した夫の景吾(高橋光臣)に証言を頼み、結城の元妻である江身子(鶴田真由)と接触してDNAサンプルを手に入れる。そうまでして紘海を駆り立てるのは、ただ一つ残された希望、すなわち美海との未来を守るためだった。

























