日中アニメ産業共通の課題とは? bilibiliアニメ事業部・亢越が語るIPビジネスの未来

2025年4月からフジテレビ系列で日曜日の朝に放送されている、日本と中国の共同製作アニメ『TO BE HERO X』。中国側の製作会社として、日本アニメを多数中国で展開するbilibiliが参画している。フジテレビの中国アニメの放送枠「B8 Station」を設けるなど、国外進出に積極的な同社のアニメ事業部の亢越氏に、今後の戦略と中国市場の今を聞いた。
配信だけでなく「IPの360度展開」を加速させるbilibili

――bilibiliは毎年「AnimeJapan」に参加していますが、この出展は御社にとってどういう意味がありますか?
亢越:bilibiliは、日本のアニメを3000タイトル以上取り揃えてきました。毎シーズン安定的に数多くの日本アニメを配信し、中国のユーザーにとって、日本文化に近しいところにいると位置付けられています。bilibili動画は、配信事業からスタートして、ロングテールのビジネスを成長させることができました。そこからデジタル販売、グッズ制作・販売に乗り出し、ゲーム展開など360度のIP展開をしています。そういうエコシステムをきちんと日本のマーケットのファンや版元にも届けたいと思っていて、「AnimeJapan」への出展はそういうことを目的にしています。
――360度のIP展開について、詳しくお聞きしてもいいでしょうか。
亢越:bilibiliは、配信プラットフォームとして版元に認識されており、その重要性は今も変わりませんが、コロナ禍後に配信だけでは足りないという議論がありました。ここ2〜3年はIPのロングテールビジネス能力の強化に力を入れています。ショッピングモールと提携してポップアップストアを展開したり、タピオカチェーン店とのコラボ、年越しの音楽ライブイベント、各地方観光地とのコラボなどを企画するようになっています。このあたりは、日本のアニメ会社が中国でまだやり切れていない部分だと思うので、今後も成長のチャンスが大きいと考えています。あと、中国は国土が広いですから、これまでのプロモーションはオンライン中心でした。SNSやネットのインフルエンサーなどを通してアニメのIPを拡大していくやり方が一般的で、中国ではオフライン広告は日本ほどには重視されていませんでした。しかし、2025年からはオフライン広告にも力を入れており、『怪獣8号』や『ダンジョン飯』といった作品では、路面広告を出しています。そういう新しいやり方で地方にもアニメを届けていきたいと思って注力しています。
――bilibiliはただの配信会社ではなく、あらゆるメディアミックスを展開する会社となっているわけですね。
亢越:そうですね。そういう会社を目指して展開しています。
――現在中国内では日本アニメの市場はどれほどなのでしょうか? 国産のアニメーション作品もすごく人気が高いと思いますが。