『キャスター』のんが科学とジャーナリズムの矛盾を突く 道枝駿佑が体現する純粋さと情熱

その細胞はある? ない? それとも……。
『キャスター』(TBS系)第3話は、科学とジャーナリズムの狭間で真実が揺れ動いた(※本記事ではドラマ本編の内容に触れています)。
新たな万能細胞のiL細胞が発見された。ivs細胞を上回るポテンシャルを秘めた画期的なニュースは世界中をかけめぐり、論文執筆者の研究員・篠宮楓(のん)は一躍脚光を浴びた。ADの本橋(道枝駿佑)が篠宮と同じ研究室の准教授・栗林(井之脇海)と旧知の仲だったことから、『ニュースゲート』で篠宮の独占インタビューが決定。しかし、放送当日、メインキャスターの進藤(阿部寛)は不正なデータ改ざんがあることを報じた。
世紀の発見が一夜にして最悪の結末を迎えた。栗林は屋上から身を投げ、教授の小野寺(花總まり)は改ざんの責任を栗林に押し付けた。実験データの目標値を示したメモから、小野寺が日常的にデータの改ざんを命じていたことを証明したい本橋は、研究室に潜入するがあえなく失敗。その頃、小野寺と接触した進藤が、小野寺から不正の指示があったこと、証拠のメモを篠宮が隠滅した確証を得る。本橋は篠宮とともに研究不正を暴露しようとする。
第3話がSTAP細胞から着想を得ていることは容易に見て取れる。込み入ったストーリーラインはもう一つの現実を映し出していた。データの改ざんがあるとされたiL細胞だったが、iL細胞の存在を確信する篠宮が小野寺やivs細胞の権威・高坂(利重剛)と再現に着手し、その存在が実証された。
11年ぶりに民放ドラマに復帰したのんが、業界の論理に屈せずに信念を貫く研究員を熱演する姿は、さまざまな感慨を呼び起こした。第3話は道枝駿佑の回だった。クールで察しのよいAD本橋は胸に正義感を秘めていて、先輩の栗林のため真実を明らかにしたい一心で奔走する。その純粋な情熱に胸を打たれた。進藤が別動隊で息の合った連携プレーを見せ、本橋の動きをフォローしていたのも見逃せない。

























