『イグナイト』間宮祥太朗の熱意が真実を暴く “後出し”で仕掛ける裁判シーンの妙味

『イグナイト』裁判を盛り上げる“後出し”

 ところで、前回の当記事でも少しだけ言及したように、“裁判”を描くドラマというのは往々にして裁判シーンにカタルシスを求める傾向があり、捜査状況をある程度見せてから裁判へジャンプし、そこで飛ばした部分を明らかにしていくという、いわゆる“後出し”になりやすい。今回の場合、ラグビー部の主力選手たちが中毒性の高い鎮痛剤に依存しているという薬物問題がそれにあたり、証言台に立ったチームの監督が一転していじめの存在を認めるような発言をし始めたことをトリガーに、宇崎はその追及を始めようとする。

 ところが事前に得ていた情報をもとにして裏取りを行ない、その現場を叩くところまでが描かれていたにもかかわらず、裁判の勝利を前に轟は休廷を申し出る。そして裁判シーンはすっと幕を下ろし、示談をもってこの案件が終結したこと、轟がクライアントである原告側家族と話をし“ベストな選択”としてその結論にたどり着いていたことなどが示される。これらもまた幾重に張られた“後出し”であり(前回でいえば、及川光博演じる相手側の弁護士が仲間だったと明らかにされた点がこれに当たる)、この構成の妙味は、今後のエピソードでより巧みなかたちで機能するような気がしてならない。

『イグナイト -法の無法者-』の画像

金曜ドラマ『イグナイト -法の無法者-』

BABEL LABELがTBSと初タッグを組むダークリーガル・エンターテインメントドラマ。“争いの火種”があるところへと潜り込み、人々に訴訟を焚きつけ、あらゆる手段を使って原告を勝訴へと導く「ピース法律事務所」の弁護士たちの姿を描く。

■放送情報
金曜ドラマ『イグナイト -法の無法者-』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:間宮祥太朗、上白石萌歌、三山凌輝、りょう、及川光博、仲村トオル
企画・プロデュース・脚本:畑中翔太
脚本:山田能龍、山口健人
法律監修:福島健史
音楽:森優太
主題歌:B'z「恐るるなかれ灰は灰に」(VERMILLION RECORDS)
プロデューサー:山田久人、瀬崎秀人、駒奈穂子
編成:松本友香、杉田彩佳
監督:原廣利、山口健人、吉田亮
製作:BABEL LABEL、TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/ignite_tbs/
公式X(旧Twitter)@ignite_tbs
公式Instagram:ignite_tbs
公式TikTok:@ignite_tbs

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