『ヴィジランテ』が“ヒロアカロス”に刺さる理由 デクとは異なる“救い”のかたち

そんな航一を演じるのは、声優・梅田修一朗。『先輩はおとこのこ』の花岡まこと、『小市民』シリーズの小鳩常悟朗、『ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~』の天道輝、『負けヒロインが多すぎる!』の温水和彦など、近年は主演作も相次ぎ、若手声優の中でも存在感を高めている。
例に挙げたキャラクターにも共通することだが、透明感と穏やかさの中に、芯のある強さを感じさせる梅田の声質は、気弱さの奥に静かな情熱を秘めたキャラクターと相性がいい。梅田が演じることで、航一という人物の不器用な優しさや、ヒーローへの憧れと悔しさの混じった、言葉にしきれない思いがよりリアルに立ち上がってくる。
なかでも特に印象的だったのが、第2話でポップ☆ステップを助ける場面の「俺だって飛びたいんだ!」というセリフだ。文字通り地に足をつけ、地道に生きてきた航一が、ほんの一瞬とはいえ空を舞い、自分の願いをまっすぐに吐き出す。その一言に込められた切実さが胸を打ち、彼の秘めた願望が一気にあふれ出すような印象を残した。
『ヒロアカ』シリーズといえば、キャラクターの名前と個性の結びつきも魅力のひとつ。灰廻という名字も、おそらく「這い回る」ような彼の動きや立場から名付けられているのだろう。けれど、このシーンでは、その名前のイメージすら超えていく。「灰廻航一が空を飛ぶ」という行動そのものが、まさに『ヴィジランテ』という作品の精神を象徴しているように感じられた。改めて思うのは、デクと航一というふたりの存在が、たとえ歩む道は違っても、“ヒーロー”に向ける情熱や信念において通じているということだ。それぞれの立場で、自分なりのやり方で、ただ目の前の誰かを助けようとする姿勢に、共通する強さがある。
TOHO animationの公式YouTubeでは、航一とナックルダスターのミニボイスドラマも公開されており(※)、ナックルに振り回される梅田演じる航一のコミカルな掛け合いも見どころだ。シリアスな展開とはまた異なる、日常の中での航一の掛け合いが軽やかにが描かれており、演技の幅広さをあらためて感じさせてくれる。
毎週、『ヴィジランテ』の世界で梅田修一朗の声で描かれていく“もうひとつのヒーロー像”。華やかさとは少し違う場所で、それでも確かに誰かのために動く人の姿がある。その正義の在り方に、きっと多くの視聴者が心を重ねるのではないだろうか。
参照
※ https://youtube.com/shorts/tCr65ZNQnTE?si=QDE7PZwcyGWLTXBX
ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-
時代は世界総人口の約8割が超常能力を持つ超人社会。混乱渦巻く世の中で、事故や災害、そして“個性”を悪用する敵・ヴィランから人々を守る選ばれし職業・ヒーロー。その一方で、「選ばれる」ことはなくとも、目の前の人を救わずにはいられない人々もいる。これは、そんなヒーロー「ヴィジランテ」の物語。
■放送情報
『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』
TOKYO MX、BS日テレにて、毎週月曜23:00~放送
読売テレビにて、毎週月曜25:59~放送
各動画配信サービスにて配信中
キャスト:梅田修一朗(灰廻航一役)、長谷川育美(ポップ☆ステップ役)、間宮康弘(ナックルダスター役)、諏訪部順一(相澤消太役)、北田理道(インゲニウム役)、鳥海浩輔(釘崎ソーガ役)、千本木彩花(蜂須賀九印役)
原作:古橋秀之・別天荒人・堀越耕平『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』(集英社ジャンプ コミックス刊)
監督:鈴木健一
シリーズ構成・脚本:黒田洋介
キャラクターデザイン:吉田隆彦
美術監督:渡辺幸浩
色彩設計:のぼりはるこ
撮影監督:張盈穎
3DCG監督:佐々木瑞生
編集:廣瀬清志
音楽:林ゆうき
山城ショウゴ、古橋勇紀
音響監督:三間雅文
オープニングテーマ:こっちのけんと「けっかおーらい」
エンディングテーマ:yutori「スピード」
アニメーション制作:ボンズフィルム
©古橋秀之・別天荒人・堀越耕平/集英社・ヴィジランテ製作委員会
公式サイト:https://vigilante-anime.com/
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