『ヴィジランテ』が“ヒロアカロス”に刺さる理由 デクとは異なる“救い”のかたち

『ヴィジランテ』がヒロアカロスに刺さる理由

 『僕のヒーローアカデミア』(以下、ヒロアカ)の原作が完結し、アニメもファイナルシーズンを待つばかりとなった今、“ヒロアカロス”に陥っているファンの間であらためて注目を集めているのが、TVアニメ『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』(以下、ヴィジランテ)だ。

 『ヒロアカ』とは異なる視点から“ヒーロー”を描いていく本作。スポットライトを浴びる正規のヒーローたちとは対照的に、ここで描かれるのは、法に縛られず、信念のままに誰かを救おうとする“非合法ヒーロー”たちの姿である。

TVアニメ『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』本PV|OPテーマ こっちのけんと「けっかおーらい」|2025年4月7日より放送開始!

 脚本・古橋秀之、作画・別天荒人による本作は、漫画アプリ『少年ジャンプ+』にて2017年から2022年まで連載され、単行本は全15巻が刊行。『ヒロアカ』の正史に連なる公式スピンオフとして、原作ファンの間でも高い評価を得てきた。スポットライトを浴びるヒーローの陰で、誰にも認められずとも、誰かを救おうとする人々。それこそが、“ヴィジランテ”である。

 漫画としても支持を集めてきた本作が、ついに待望のアニメ化。しかも国内外に多くのファンを持つ人気作ということもあり、放送開始と同時に話題を呼んだ。『ヒロアカ』との比較として印象的だったのは、第1話でデクが爆豪を助ける場面、第2話では入試でお茶子を支える場面など、本編へのオマージュがしっかりと描かれている点だ。物語が同じ世界線で展開されているからこそ、おなじみのヒーローたちがさりげなく登場する演出がファン心をくすぐる。また、『ヒロアカ』と同様にキャラクター紹介をプレゼント・マイクが務めるキャラPVも、作品世界の統一感を感じさせる演出として機能している。

『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』ティザーPV|2025年4月7日より毎週月曜 23:00~TOKYO MX・BS 日テレ、25:59~読売テレビにて放送開始!

 『ヴィジランテ』の主人公・灰廻航一は、かつてヒーローに憧れながらも、その夢を諦めたごく普通の大学生。派手な能力もなく、目立たない学生生活を送る彼だが、夜になると「オールマイトなりきりパーカー」に身を包み、“親切マン”としてこっそり街に出る。困っている人を見かけると、非合法と知りながらも個性を使って手を差し伸べてしまう。その行動の原動力にあるのは、誰かに認められたいという願望ではなく、ただ、目の前の人を見捨てられないというまっすぐな衝動だ。

 航一の個性は「滑走」。3点以上の接地を条件に、地面を滑るように移動できる能力だが、そのスピードはママチャリ程度と控えめで、戦闘向きの派手な能力ではない。それでも、自分にできることを考えて誰かを救おうとする姿には、“ヴィジランテ”の本質がにじんでいる。

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