原菜乃華、『あんぱん』出演でさらに広がる可能性 大躍進のカギは繊細な表現力にあり

原菜乃華、『あんぱん』でさらに広がる可能性

 若手俳優の登竜門としても名高いNHK連続テレビ小説だが、現在放送中の『あんぱん』に出演している若手俳優たちは、すでに演技力に定評のある俳優ばかりのように思う。特に、朝田三姉妹のキャスティングには、発表時に度肝を抜かれたのを覚えている。ヒロイン・今田美桜の妹役に河合優実と原菜乃華なんて、朝ドラ以外無理だろう。

 原はここぞという作品で、爪痕を残すことができる俳優だ。世間的な知名度を上げたきっかけとして挙げられるのは、アニメ映画『すずめの戸締まり』、映画『ミステリと言う勿れ』、そして実写版『【推しの子】』だろうか。

 『すずめの戸締まり』では、1700人超の参加者のいるオーディションを経て、岩戸鈴芽役を射止めた。前半は鈴芽のロードムービー、後半は鈴芽自身の東日本大震災の記憶や叔母・環(深津絵里)との関係が描かれるなかで鈴芽の感情の揺れ動きを、声で丁寧に表現していった。

『すずめの戸締まり』に原菜乃華×松村北斗が与えたリアリティ 神木隆之介ら声優陣の魅力

4月5日に『金曜ロードショー』(日本テレビ系)にて、『すずめの戸締まり』が本編ノーカットで地上波初放送される。同作は東日本大震災…

 映画『ミステリと言う勿れ』では、原作エピソードとしても人気の高い広島編のヒロイン・狩集汐路役を好演。汐路は家庭環境の影響で複雑な人間性を持ち、主人公・久能整(菅田将暉)に諭される前半と、信頼していた親戚に裏切られ絶望を露わにする後半で、表現しなければならない人間性が変化する人物。原は、どの瞬間も横たわっている汐路の息苦しさ、息苦しいからこそ明るく振る舞っているという二面性をありありと見せつけた。

映画『ミステリと言う勿れ』はシリーズの集大成に 原菜乃華の“アイドル映画”の一面も

9月15日に公開された映画『ミステリと言う勿れ』は、2022年に月9(フジテレビ月曜21時枠)で放送された菅田将暉主演のドラマを…

 そして、Prime Videoで実写ドラマの配信が2024年11月28日に始まり、12月20日からは映画が公開された実写版『【推しの子】』。原が演じた有馬かなの表現は、どの場面を切り取っても素晴らしいの一言に尽きる。ルックスはもちろんアニメ版の声優である潘めぐみを思わせる声色やセリフ回し、ルビー(齊藤なぎさ)やMEMちょ(あの)へのするどいツッコミとたまに見せる顔芸、そしてアクア(櫻井海音)を前に意地を張り、ときに見せる切なげな表情。どこを切り取っても有馬かなでしかなく、実写版キャストは彼女以外あり得ないと思わせる芝居だった。

原菜乃華=有馬かなが成立した理由 実写版『【推しの子】』で示した“磨き抜かれた真価”

年末年始に劇場をにぎわせるであろう映画が相次いで封切られ、今期のドラマが次々と最終回を迎えているいま、世には“話題作”が溢れてい…

 原自身も有馬かなと同じく、子役期を経て俳優として活躍している。そしてB小町の実写キャストの中では唯一アイドル経験がない。不慣れながらアイドルに懸命に取り組んでいる姿も有馬かなに重なるものがあり、B小町として音楽番組に出演し、歌い踊る姿は有馬かなが漫画から飛び出てきたかのようだった。

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