『いつか、ヒーロー』桐谷健太らの熱演による圧倒的“熱量” 初回から謎だらけで考察要素も

『いつか、ヒーロー』初回から圧倒的熱量

 『いつか、ヒーロー』初回を観た感想を一言で聞かれたとしたら、「とにかく熱量の高い作品だ」と答えると思う。脚本家が、どうしても伝えたいメッセージを持っていて、それがすべての関係者の共通認識になっている作品というのは、画面を通して高い熱量が伝わってくるのだ。たとえるなら、マグマのように胸を突き動かされる感じ。初回放送の段階では、赤山が苦しんでいるシーンが多いため、「日曜日の夜にはちょっと暗いかな?」と感じる部分もあったが、それでも観てもらいたい。わたしは、この作品には人々の意識を動かす力があると思っている。

 初回放送は、時間にするとたった50分。そのなかでも、さまざまなことを考えさせられた。どうして、大人になると夢を忘れてしまうのだろう? なんで、現状維持を選ぶようになってしまうのか? 「わたしは何にでもなれる」と思えなくなったのはいつからだろう? もちろん、自分と向き合うことは苦しい。夢を失ってしまった赤山の教え子たちと自分を重ねて、「うっ」となる瞬間もある。でも、初回放送を観たあと、確実に何かが動き始めた音がした。

 本作の制作発表会見で桐谷は「『いつか、ヒーロー』は僕の節目となる作品になる」と語っていたが、本当に全身全霊を込めて演じているのが伝わってくるからこそ、彼が伝えようとしているメッセージを、ひとつ残らず汲み取っていきたいと思わされる。

 また、本作は考察要素も楽しめる作品だ。20年前、赤山を殺そうとした人物は誰なのか。赤山の教え子・渋谷勇気(駒木根葵汰)を自殺に追い込んだ(?)氷室の本来の目的とは? また、現段階ではあまり関わりがないように見えるドリームグループジャパンの会長・若王子公威(北村有起哉)と東都テレビの敏腕政治記者・西郡十和子(板谷由夏)も、赤山の今後に絡んでいくことになるのだろう。

 どのような方向に舵を切るのかは未知数な『いつか、ヒーロー』。しかし、赤山がきっとわたしたちのヒーローになってくれる。それだけは、初回放送を観た時点で確信することができた。

『いつか、ヒーロー』の画像

いつか、ヒーロー

桐谷健太が主演を務めるオリジナルドラマ。『コード・ブルー –ドクターヘリ緊急救命-』などの林宏司が脚本を担当。金もなければ仕事もない元児童養護施設職員のアラフィフ男・赤山が、夢を失くしたかつての教え子たちとともに、腐った巨大権力相手に痛快な復讐劇を繰り広げる。

■放送情報
『いつか、ヒーロー』
ABCテレビ・テレビ朝日系にて、毎週日曜22:15〜放送
TVer、ABEMAにて、地上波放送終了後見逃し配信
U-NEXTにて全話配信
出演:桐谷健太、宮世琉弥、長濱ねる、泉澤祐希、曽田陵介、星乃夢奈、でんでん、小関裕太、駒木根葵汰、板谷由夏、北村有起哉
脚本:林宏司
監督:アベラヒデノブ、星野和成、松本喜代美、松浦健志
チーフプロデューサー:南雄大(ABCテレビ)
プロデューサー:小森千裕(ABCテレビ)、比屋根り子(ABCテレビ)、松野千鶴子(アズバーズ)、増田玲介(アズバーズ)
主題歌:「HERO」石崎ひゅーい(EPIC Records Japan)
制作協力:アズバーズ
制作著作:ABCテレビ
©︎ABCテレビ
公式サイト:https://www.asahi.co.jp/itsukahero/
公式X(旧Twitter):@abcdrama_hero
公式Instagram:@abcdrama_hero
公式LINE:@abc_drama

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