作間龍斗が内山昂輝から継承した“山田像” 『山田くんとLv999の恋をする』映像化は大成功

そうした繋がりや誠実な作りを象徴する存在のひとつが、山田を演じた作間龍斗だ。彼もまた、原作やアニメを知るファンにとって納得できるキャスティングだったはず。声のトーンや感情の乗せ方が非常に自然で、ある意味では、アニメ版で内山昂輝が確立した“山田”像をきちんと継承しながら、実写ならではの説得力を持って表現していた。声や演技力だけでなく、彼が画面に立ったときの佇まいそのものが、まさに山田なのだ。中でも、自宅のゲーミングチェアに無言で腰かける後ろ姿は、原作の一コマをそのまま映像化したようなリアリティと再現度で、「現実に山田がいる……!」と息を呑む瞬間だった。

あえて賛否が分かれるかもしれないポイントを挙げるなら、エンドロール後に差し込まれたおまけ映像だろうか。個人的には、本編の余韻を壊さない軽やかなおまけとして素直に楽しめたが、アニメ・実写ともに「想いが通じ合った」場面で物語をきれいに締めていたこともあり、その後に描かれる“二度のキス”を蛇足と感じる人がいてもおかしくはない。
しかし、原作者が「ラストのシーンは脚本の川原さんと相談して、完全にお任せしました。観客目線で楽しめる可愛らしいシーンになったと思います」と語っているように(※3)、このおまけは世界観を壊すものではなく、むしろ映画としての締めくくりをやわらかく彩るワンシーンとして、十分に意義のあるものだったと感じる。

アニメと実写、異なる表現手法を用いながらも、それぞれが原作の魅力を引き出し、互いに補完し合うかたちで成立していた『山田くんとLv999の恋をする』。その実写映画化は、ファンの不安を心地よく裏切る、丁寧かつ誠実な仕上がりだった。物語の輪郭はメディアに合わせて更新されながらも、その核は丁寧に守り抜かれている──。そんな誠実で幸福なメディアミックスの一例として、ファンの記憶に残る作品となるだろう。
参照
※1. https://x.com/yamada999_anime/status/1674364587662266370
※2. https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1687854909&p=2
※3. https://news.biglobe.ne.jp/trend/0401/gad_250401_2702643107.html
■公開情報
『山田くんとLv999の恋をする』
全国公開中
出演:作間龍斗、山下美月、NOA、月島琉衣、鈴木もぐら(空気階段)、甲田まひる、茅島みずき、前田旺志郎
監督:安川有果
脚本:川原杏奈
原作:ましろ『山田くんとLv999の恋をする』(コミックスマート「GANMA!」連載)
主題歌:マカロニえんぴつ「NOW LOADING」(TOY’S FACTORY)
制作:角川大映スタジオ
配給:KADOKAWA
©ましろ/COMICSMART INC. ©2025『山田くんと Lv999 の恋をする』製作委員会
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