内山昂輝はラブコメ表現の新境地へ 『山田くんとLv999の恋をする』の秀逸な“音”

内山昂輝はラブコメ表現の新境地へ

 マンガアプリ「GANMA!」にて連載中のネトゲ×ラブコメストーリー『山田くんとLv999の恋をする』が放送中だ。『ちはやふる』や『NANA』、『カードキャプターさくら』の浅香守生監督と、『宇宙よりも遠い場所』『オーバーロードIV』のマッドハウスがアニメーション制作を担当していることもあり、アニメとしての完成度も高い。ポップな色彩を使った透明感が印象に残るキャラクターデザインに、ゲームの世界ならではのアニメ演出など、原作ファンも楽しめる見どころが盛りだくさんだ。

 主人公・木之下茜は彼氏との共通の趣味としてネットゲームを始めるも、彼氏に同じゲームで知り合った女性と浮気されてしまう。現実世界でも「彼氏がネットゲーム内で好きな人が出来て、別れを告げられた!」というケースは往々にして耳にすることがある。さらに、本作のタイトルに登場する“山田くん”こと山田秋斗はプロゲーマーのイケメン高校生であり、この「今の時代ならありそう」な現実的世界観が本作の面白さでもある。

 そして本作の世界観をより際立たせているのが、山田を演じる内山昂輝の声の演技。山田は恋愛よりもゲームを優先するような、感情表現の乏しい人物で、ひょんな縁から同じギルドメンバーの茜と交流を持ち始める。常に落ち着いたトーンでぽつりぽつりと話す山田だが、失恋の傷から勝手に泥酔した茜を介抱するなど優しい一面も垣間見える。内山は過去作でもアニメ『ブルーロック』の糸師凛、『Free!』の桐嶋郁弥などを演じ、見た目のクールさと内面に秘めた熱い想いとのギャップを緻密に演じてきた。このクールさの中に垣間見える繊細な熱を秘めたキャラクターの演技は、内山の得意とする部分と言えるだろう。

 しかし、本作における山田が過去作のクールキャラと大きく異なるところは、本作がラブコメであり、山田の茜への感情の動きが物語の大きな見どころとなっているところだ。我々が見たいのは、ゲームでのし上がっていく山田ではなく、恋をする山田である。さらにいうなら、「内山昂輝演じる、恋するクールな男子高校生」が見たいのだ。スポコン系作品やバトルアクションにおける自己研鑽に対する情熱ではなく、淡々と少しずつ変化していく山田の茜への「恋の熱」の温度をどのように表現していくのかが楽しみなところ。また、本作ではアニメならではの声を活かした演出も特徴的だ。通常目で読むことを前提としたチャットログでは各キャラクターの声を当て、動くアニメーションとして物語を繋ぐ。ゲーム内のチャットの内容にも“声”がつき、山田がミニキャラとしてもリアルと同じトーンで会話をする描写がより印象に残る演出となった。

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