TVアニメ『メダリスト』で注目された“モーションキャプチャー” “ロトスコープ”と比較考察

ここまでモーションキャプチャーとロトスコープに関する事例を挙げてみたが、いずれも実写そのものの動きを使うわけではない。モーションキャプチャーで取り込んだ動きも編集段階では補正することになり、ロトスコープにおいて必要な箇所のみ作画することになる。どのみち最終的に作品のクオリティーを決定づけるためには、制作スタッフによるチェックは欠かせない。
そして比較対象としてはAIも避けて通れなくなった。2025年春アニメ『ツインズひなひま』の全編で、AIが使われているとして放送前から話題になっている。
『ツインズひなひま』公式YouTubeチャンネルは本編のPVに先がけて、メイキングPVも公開している。本稿が注目するのは、やはり「実写からアニメ」の変換である。モーションキャプチャーやロトスコープと同じく、AIが実写の動きをリファレンスとしてキャラクターの動きに変換しているからだ。
『メダリスト』でもAIが使われたことが話題になっているが、こちらはキャラクターや背景など作品のビジュアルに関わる生成ではなく、モーションキャプチャーの関連として、演者のスケーティングの軌跡を補正するために使われている。
『ツインズひなひま』でのAIは、作品のビジュアルに関わる部分での用途になっているものの、あくまでも制作のサポートであると明言している。自前で用意した各素材を学習に使ったAIなのであれば、各スタッフの制作に関する特徴まで反映されやすく、調整も含めて確かに効率よく制作できそうだ。
もっぱらAIを用いた創作をめぐる言説では、リファレンス元が明かされないことが議論の的になっている。一方のモーションキャプチャーやロトスコープでは、リファレンス元が明確になっている。制作には何らかのリファレンスが必要であるにもかかわらず、参照先と出力とを分かつ境界線の揺らぎは着実に忍び寄っている。
2025年冬アニメには、作品制作を題材とした『全修。』もあった。作品制作を題材とした物語も定期的に発表される傾向にあり、アニメーションの制作過程を知る機会にもなっている。
そして制作会社が増えているのは、作品本数が多いからというだけではなく、各社が制作方法を模索しているからでもある。出自や来歴が異なる用語でも、同じ内容を意味するものワードが複数の場で見られるところから、制作事例の増加を見出せるとも言える。
本稿がリファレンスになるかどうかはさておき、なるべく視野を広く持って制作方法や用語を再考する機会があってもいいのではないだろうか。
参照
※1.本稿でいうところの作品ジャンルは、アクションやコメディーやホラーなどといった作品の内容に関するものではなく、3Dや2Dやコマ撮り(ストップモーション)などといった作品の技術に関するものとしている。
※2. https://download.autodesk.com/global/docs/softimage2014/ja_jp/userguide/index.html?url=files/view_rotoscopy.htm,topicNumber=d30e59719
※3. https://help.autodesk.com/view/3DSMAX/2024/JPN/?guid=GUID-2D841F7C-0248-4964-A133-3338C2683610
■リリース情報
『メダリスト』第2巻
4月25日(金)Blu-ray&DVD発売
内容:TVアニメ『メダリスト』第6話〜第9話+特典映像
<初回生産特典>
1.原作・つるまいかだ描き下ろしBOX
2.キャラクターデザイン・亀山千夏描き下ろしデジパック
3.BOXイラスト特製クリアポストカード
4.特製ブックレット 5.イベントチケット優先販売申込券(夜の部)
<毎回特典>
1.PV集
2.WEB予告(第6話~第9話)
■イベント情報
『メダリスト POP UP SHOP in OIOI』
●有楽町マルイ
開催場所:8F イベントスペース「SPACE5・6」
開催期間:4月5日(土)〜4月20日(日)
営業時間:11:00~19:00
※店舗の営業時間とは異なる
詳細:https://www.0101.co.jp/086/event/detail.html?article_seq=132725&article_type=sto
●神戸マルイ
開催場所:4F カレンダリウム
開催期間:5月24日(土)~6月1日(日)
営業時間:月~土 11:00~19:00/日・祝 10:30~19:00
詳細:https://www.0101.co.jp/083/event/detail.html?article_seq=132726&article_type=sto
『メダリスト展』
会期:8月13日(水)~9月2日(火)
会場:松屋銀座 8階イベントスクエア
公式X(旧Twitter):@medalist_ex
■配信情報
『メダリスト』第1期
各配信プラットフォームにて配信中
キャスト:春瀬なつみ(結束いのり役)、大塚剛央(明浦路司役)、市ノ瀬加那(狼嵜光役)、内田雄馬(夜鷹純役)、小市眞琴(鴗鳥理凰役)、坂泰斗(鴗鳥慎一郎役)、木野日菜(三家田涼佳役)、戸田めぐみ(那智鞠緒役)、小岩井ことり(大和絵馬役)、三宅貴大(蛇崩遊大役)、伊藤彩沙(鹿本すず役)、加藤英美里(高峰瞳役)
原作:つるまいかだ(講談社『アフタヌーン』連載)
監督:山本靖貴
シリーズ構成・脚本:花田十輝
キャラクターデザイン:亀山千夏
総作画監督:亀山千夏、伊藤陽祐
フィギュアスケート振付:鈴木明子
フィギュアスケート監督・3DCGディレクター:こうじ
3DCGビジュアルディレクター:戸田貴之
3DCGアニメーションスーパーバイザー:堀正太郎
3DCGプロデューサー:飯島哲
色彩設計:山上愛子
美術監督:中尾陽子
美術設定:比留間崇、小野寺里恵
撮影監督:米屋真一
編集:長坂智樹
音楽:林ゆうき
音響監督:今泉雄一
音響効果:小山健二
アニメーションプロデューサー:神戸幸輝
アニメーション制作:ENGI
©︎つるまいかだ・講談社/メダリスト製作委員会
公式サイト:https://medalist-pr.com
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/medalist_PR






















