竹野内豊の出演作が途切れない理由は? 朝ドラ初心者をも虜にする『あんぱん』での存在感

また、近年では『義母と娘のブルース』(TBS系)や『イチケイのカラス』(フジテレビ系)などスペシャルドラマや映画化にまで発展する人気作でメインキャラクターを演じている。
『義母と娘のブルース』では、妻を亡くして娘みゆきと一緒に暮らしていたサラリーマン・良一に。しかし自分の余命もわずかで、娘を安心できる人に預けて旅立ちたいと思っていた彼は、仕事で出会った亜希子(綾瀬はるか)に再婚を申し出る。ドラマ中盤に良一は旅立ってしまうが、嫌いな食べ物を残そうとするみゆき(横溝菜帆/上白石萌歌)に対しておかしなコールで食べさせようとする亜希子に合わせ、自分もそのコールにのってしまうようなお茶目でかわいらしい一面もあり、どこか友達のお父さんに居そうな、いい意味でイケメン感ゼロな雰囲気を出しているところも魅力。家族思いな普通のお父さんとして、そこには存在していた。
『イチケイのカラス』では、弁護側と検察側の主張を総合的に判断する裁判官でありながら、職権を発動させて自ら事件の真相を突き詰めようとする入間を演じている。新たに赴任した坂間(黒木華)はその前代未聞なやり方に戸惑いを見せるが、やがてその正義に共感していく。50代の竹野内には、様々な経験を経てきた説得力と重厚さがある。それだけでは貫禄ばかりになってしまいそうだが、そこに愛らしい要素もあって、信頼できる人間味もある。その雰囲気が入間のキャラクター性にマッチしていて、とても大きな相乗効果を生み出し、人気作になっていったのかもしれない。

そんな様々な姿を見せてきた竹野内は、『あんぱん』にどのような影響を与えてくれるのだろうか。朝ドラ初心者の筆者にとって朝ドラのイメージは、常にリビングで流れていて、母親の横に座ってつい観てしまうようなもの。それは、若手ヒロインが魅力的だからという理由だけではなく、名俳優たちの底力に目を奪われるからだ。既に彼らの演技力は知っているはずなのに、若手ヒロインの脇を固める立場として登場する姿はどこか新鮮だった。朝ドラファンではない人々を惹きつける魅力がそこにはあると感じている。

ベテランであっても、俳優としての底力を試される朝ドラ。存在感を消さずにどんな役にも馴染むことができる“竹野内豊らしさ”は、きっと作品を良いものにしてくれるに違いない。朝ドラ初心者の筆者を含め、視聴者をどこまで惹きつけてくれるのか楽しみだ。
参照
※ https://realsound.jp/movie/2024/08/post-1736626.html
■放送情報
2025年度前期 NHK連続テレビ小説『あんぱん』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:今田美桜、北村匠海、加瀬亮、江口のりこ、河合優実、原菜乃華、細田佳央太、高橋文哉、中沢元紀、大森元貴、志田彩良、二宮和也、瀧内公美、山寺宏一、戸田菜穂、浅田美代子、吉田鋼太郎、竹野内豊、阿部サダヲ、妻夫木聡、松嶋菜々子
作:中園ミホ
音楽:井筒昭雄
主題歌:RADWIMPS「賜物」
語り:林田理沙アナウンサー
制作統括:倉崎憲
プロデューサー:中村周祐、舩田遼介、川口俊介
演出:柳川強、橋爪紳一朗、野口雄大、佐原裕貴、尾崎達哉
写真提供=NHK






















