冬ドラマの共通点に“政治不信”? 『日本一の最低男』『ホットスポット』の異なるアプローチ

冬ドラマの共通点に政治不信?

 自治体の首長の不正を取り上げていたのは、最終回を迎えた『ホットスポット』(日本テレビ系)だ。「地元系エイリアン・ヒューマン・コメディー」と銘打ち、異物のような他者を何気なく受け入れる地元コミュニティと何でもない日常の大切さを描いた作品なので、政治家の不正を暴くことはメインテーマではない。だが、今の不正を放置することで、取り返しのつかない未来が訪れることが描かれていた。

 清美(市川実日子)たちが勤務するホテルが閉館して土地が売却される背後で、切れ者の新市長・梅本(菊地凛子)とホテルオーナー・原口(筒井真理子)が癒着しており、土地を市が通常より高値で買収した後でキックバックが行われようとしていた。これは「官製談合」と呼ばれる不正行為だ。官製談合は頻繁に行われており、2024年は千代田区の区議、青森県の五所河原町の副市長らが逮捕され、今年に入っても山形県の高畠町、長崎県の佐々町で逮捕者が出ている。よくできたフィクションと現実は地続きだ。

『ホットスポット』©日本テレビ

 ちなみに、放送直前の記者会見で「皆さんにとってのホットスポットとは?」と問われた高橋役の角田晃広は「談合坂のサービスエリア」と答えていた。本作の伏線はこんなところにも仕込まれていた(偶然かもしれない)。

 自己の利益のためだけに、たいして役に立たない新しい施設を建てた市長は、その後も似たようなことを繰り返したのだろう。その結果、環境は破壊され、町は荒れ果て、富士山の世界遺産登録も取り消されてしまったという。

『ホットスポット』©日本テレビ

 未来人の村上(小日向文世)は清美に「(不正を)ぜひ暴いて、未来を変えてほしいな」と話していた。告発には宇宙人の高橋と超能力者の瑞稀(志田未来)の能力が大いに役に立ったが、それだけではなく清美の「うちらみんなの問題」という意識や、美波(平岩紙)の「あのクソ市長、警察に突き出そう」という気合いも必要不可欠だったと思う。

 政治を変えることは社会を変えることにつながっていく。『日本一の最低男』の最終回にも注目したい。

『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』の画像

木曜劇場「日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった」

“日本一の最低男”である主人公・大森一平が、家族を、社会を、そして日本を変えていくために奮闘する姿を描く完全オリジナル作品。

■放送情報
『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:香取慎吾、志尊淳、冨永愛、増田梨沙、千葉惣二朗、向里祐香、佐野玲於、橋本じゅん、安田顕ほか
脚本:政池洋佑、蛭田直美、おかざきさとこ、三浦駿斗
演出:及川拓郎ほか
プロデュース:北野拓ほか
主題歌:香取慎吾「Circus Funk(feat. Chevon)」(トイズファクトリー)
制作協力:テレパック
制作・著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/saiteiotoko/
公式X(旧Twitter): https://x.com/saiteiotoko_cx
公式Instagram:https://www.instagram.com/saiteiotoko_cx/
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@saiteiotoko_cx

■配信情報
『ホットスポット』
TVer、Huluにて配信中
出演:市川実日子、角田晃広(東京03)、鈴木杏、平岩紙、田中直樹、夏帆、野呂佳代、小日向文世、白石隼也、池松壮亮
脚本:バカリズム
演出:水野格、山田信義、松田健斗
プロデューサー:小田玲奈、小田井雄介、櫻井雄一、野田健太
チーフプロデューサー:道坂忠久
音楽:fox capture plan
企画協力:マセキ芸能社
制作協力:ソケット
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/hotspot/
公式X(旧Twitter):https://x.com/hotspot_ntv
公式Instagram:https://www.instagram.com/hotspot_ntv/
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@hotspot_ntv

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