サモ・ハンが語る、香港映画復活への思い 『トワイライト・ウォリアーズ』出演の裏話も

サモ・ハン、香港映画復活への提言

旧知の仲間であるソイ・チェン監督に言われたら断れない

『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』©2024 Media Asia Film Production Limited Entertaining Power Co. Limited One Cool Film Production Limited Lian Ray Pictures Co., Ltd All Rights Reserved.

――現在、日本では『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』が大変な評判を呼んでいます。サモ・ハンさんはこの作品にどんな思いで出演を決めたのですか?

サモ・ハン:それは簡単な話です。ギャラがもらえれば出演しますよ(笑)。それにソイ・チェン監督とは何年も一緒に仕事をしてきた仲ですし、断れないですね。彼とは友人ですから。

――ソイ・チェン監督とのお仕事は、サモ・ハンさんはどんなふうに気にいってらっしゃるんですか?

サモ・ハン:私は、オファーをくれる人はみんな好きになります(笑)。何度も仕事をくれるんだから、それだけ好きなんですよ。

――『トワイライト・ウォリアーズ』は、1980年代の香港を舞台にしています。この時代は、香港アクション映画の全盛期と言える時代で、サモ・ハンさんも活躍されていました。そういう時代を描いた作品に出演することに対して、特別な想いはありましたか?

サモ・ハン:この映画は、私が監督ではなく、ソイ・チェン監督の作品です。私としては、とにかくオファーがあった仕事を全力でやるだけです。だから、特別な意気込みとかはなかったですよ。今回の舞台となった九龍城砦は小さい時に近所まで行ったことがありましたし。ですので、正直に言えば、何も感じないわけではなかったわけではありませんけどね。懐かしくはありましたね。

――監督や制作陣に当時の思い出から、何か助言をすることはあったんですか?

サモ・ハン:いいえ。どの監督も自分のビジョンとアイデア、世界観を持っているものですから、私は1人の役者としてそれを尊重したい、だからこれは嫌だなとあ、そういうことは一切言わないんです。これはあくまでソイ・チェン監督の作品ですから、口を挟むべきじゃないと思うからです。

『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』©2024 Media Asia Film Production Limited Entertaining Power Co. Limited One Cool Film Production Limited Lian Ray Pictures Co., Ltd All Rights Reserved.

――今作のアクション監督は旧知の間柄の谷垣健治さんです。今回の谷垣さんの仕事ぶりはいかがだったでしょう?

サモ・ハン:健治さんは、いつだって最高の仕事をしますよ。すでに多くの人が賞賛してますから、今さら私が付け加えることなんてありません。

――昨今の香港の若手俳優の印象について教えてください。

サモ・ハン:今後、彼らにどういうチャンスがあるかあるか、あるいはどうチャンスを作り出してあげられるのかを考えないといけないですよね。『トワイライト・ウォリアーズ』の若手たちはみんなとても素晴らしかったです。私はルイス・クーなど、先輩の我々がああいう若手をサポートしていないといけないと思っています。彼らが活躍できる環境作りをみんなでしていかないといけないですね。

――そうした若い才能が活躍できるようにするために、香港映画界に必要なものはなんでしょうか?

サモ・ハン:私1人でどうこうできるものでもありません。とにかく一回でも多くチャンスを作ってあげることですね。その他、アクション俳優以外にも素晴らしい俳優が香港にはいますが、香港映画の現在の問題は製作本数が減ってきていることなんです。これを何とかして、より多くの若手にチャンスを作っていかないといけないわけです。

香港映画の復活には投資が必要

授賞式で挨拶をするサモ・ハン

――『トワイライト・ウォリアーズ』は日本で非常に評判がよく、往年の香港アクション映画ファンのみならず、女性も含めて新しいファン層を開拓しています。こうした元気な香港映画を観たいと思っている日本のファンが、たくさんいます。全盛期の香港映画を彷彿とさせる作品でしたが、こういう映画を香港映画は作り続けていけるでしょうか?

サモ・ハン:なかなか難しいことだとは思います。これは、やはり投資してくれる人がいるかどうかにかかっています。良い映画を作るにはどうしてもコストがかかります。今回、この映画が日本でヒットしたことは喜ばしいことで、それは日本の方がこういう映画を望んでいるということでしょうし、私もこういう映画が作られ続けることを望んでいます。

――こういう超大作のアクション映画を作り続けるには、今まで以上に海外マーケットの開拓が必要になりそうですね。

サモ・ハン:そうだと思います。昔と今では配給の仕組みが全然違うんです。昔は、映画を作っている最中に配給オファーがあって上映が決まっているのが当たり前でした。今はそうじゃないんです。映画を撮り終わって、国内で上映してみて反応が良ければ海外の配給会社がつくということも珍しくありません。みんな反応を見てから決めるという感じになっているんです。昔の香港映画のクオリティが高かったのかどうか、私にはわかりませんけど、当時のアクション映画は確かに人気がありました。だから、映画を作ろうと思うという話をすれば、お金を出してくれる人がいるような状態だったんです。今は、そういう時代じゃないんです。

――香港映画の復活のためには、まず第一に投資ですか?

サモ・ハン:監督にアイデアやビジョン、手法など重要な要素はたくさんありますが、一番重要なのは投資があるのかどうかです。

――香港映画の製作本数が減ってきているということですが、サモ・ハンさんの今後のお仕事の状況はどうなのでしょうか?

サモ・ハン:ありがたいことにいろいろオファーはいただいています。

――日本には香港アクション映画のファンは、まだまだたくさんいますから、サモ・ハンさんの新作を心待ちにしている人も大勢いると思います。日本のファンに向けてメッセージをお願いいたします。

サモ・ハン:こちらこそ日本のファンの方に長い間応援してもらえて本当に嬉しいです。私としても、これからもできるだけ自分自身で色々な映画を撮りたいし、出演もしたい、日本の皆さんに香港映画をたくさん届けたいと思っています。近い将来、また新しい作品を持って日本に行きたいですね。

■イベント情報
「アジア・フィルム・アワード・アカデミー」
会場:ザ・ランガム・香港
特別協力:アジア・フィルム・アワード・アカデミー
概要:アジア・フィルム・アワード・アカデミーは、釜山、香港、東京の国際映画祭によって設立された非営利団体である。毎年開催されるアジア・フィルム・アワードに加え、同アカデミーは、アジア映画をより多くの観客に紹介し、アジアにおける映画市場を拡大し、香港内外の映画関係者のつながりを育むことを目的に、年間を通じてイベントやプログラムを開催している。アジア・フィルム・アワードは18年間開催されており、最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀男優・女優賞などの賞を授賞している。アジア・フィルム・アワードでは、毎年、過去のノミネート作品や受賞作品で構成される投票パネルが参加し、全カテゴリーの受賞作品を決定している。また、パネル・メンバーは、アジアや世界各地でアカデミーが主催するイベントに参加し、業界関係者や観客と交流する機会もある。

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