『秘密』“青木”中島裕翔が断ち切った復讐の連鎖 救うべきかけがえのない存在を問う

『秘密~THE TOP SECRET~』(カンテレ・フジテレビ系)第8話では、誘拐犯の命がけの執念に息をのんだ(※本記事はドラマ本編の内容に触れています)。
千堂外務大臣(生瀬勝久)の娘・咲(葵うたの)が誘拐された事件の続編。タンカーのコンテナに監禁された少女を救うため、青木(中島裕翔)はヘリで南方へ飛んだ。千堂は首謀者の淡路(伊武雅刀)と会い、娘の居場所を教えてほしいと土下座する。海上保安庁の協力を得て、青木はコンテナに閉じ込められた平野望美(羽瀬川なぎ)を助け出した。
第九の新人である青木は、ほどなくして薪(板垣李光人)と雪子(門脇麦)のかけがえのない存在になった。青木を送り出す薪の葛藤は、警察庁長官(利重剛)に直談判する時のテンションにあらわれていた。青木の負傷を聞いた雪子のあわてぶりは、命に代えても守りたい対象への反応だった。薪と雪子は鈴木(中島裕翔)のことが頭に浮かんだはずだが、青木が生きている一人の人間として、それぞれの心に場所を見つけたことが伝わってきた。
誘拐事件は思いがけない展開を迎える。監視の目をかいくぐって病室に侵入した千堂が淡路を手にかけた。目的は淡路の脳をMRI捜査にかけ、咲の居場所を特定するため。MRI捜査のために、またしても人命が奪われてしまった。結果的に咲は救出され、娘のために罪人となった千堂に世間から同情の声が寄せられる。しかし、その裏には、本人すら知らない驚愕の真実が待ち受けていた。
本作では、MRI捜査によって、毎話、登場人物の抱える秘密が明かされる。では、第7話と第8話の秘密は何だったのか? 死んだ淡路が記憶していたのは咲の居場所だが、隠していたのはそれだけではなかった。MRI捜査は神の視点に似ている。事後的に起きたことを明らかにすることで謎は解き明かされる。死者は語る口を持たない代わりに真実が白日の下にさらされる。そこに秘密は存在しない。では秘密はないのかと問われたなら、答えはノーだ。秘密はある。生きている人間の中に。