臼田あさ美が女優として秘めるポテンシャルの高さ 『御上先生』後半戦の新たな見どころに

けれども、“臼田あさ美=一色真由美”はこの物語において、大変な重責を負っている存在だということが明かされた。そう、彼女は御上と同じ高校に通っていた人物だったのだ。だから御上が経験した過去の事件についても、彼女はよく知っている。いまから22年前、御上の兄である宏太(新原泰佑)が学校の放送室で声明文を全校放送したのち、自ら命を絶った事件である。一色も大きな傷を心に負ったに違いない。だからこそ、現在はケアをする立場にあるのだろうか。思い返してみると、彼女の持つ優しさは、過去に深く傷ついたことのある人特有のもののような気がしてくる。
私たち視聴者は一色の過去を知らずにこのドラマを観てきたわけだが、当然ながら臼田はよく理解したうえで演じてきたはずだ。どのようなことを思い、考えながら演じてきたのだろうか。かなり難しいものだったのではないだろうか。しかし、本当に難しいのはここからだ。御上と一色のつながりを、誰もが知ることになった。劇中で見せる関係性も変わってくることだろう。関係性が変われば、口にする言葉も、それを発する調子も、視線も、細かな所作も、すべてが変わってくるはず。ターニングポイントを超えて以降の一色真由美を、俳優・臼田あさ美はどう体現していくのか。これが本作の新たな見どころのひとつに加わったのである。

主演を務めた『南瓜とマヨネーズ』(2017年)など、いくつもの代表作を持っている臼田だが、近年はバイプレイヤーとして認識されているのではないだろうか。参加する作品のジャンルも演じる役のタイプも幅広い。とくに、『劇場版 架空OL日記』(2020年)、『ウェディング・ハイ』(2022年)、『ブラッシュアップライフ』(2023年/日本テレビ系)といった、バカリズムが脚本を手がける作品には彼女の存在が欠かせない。放送中の『ホットスポット』(日本テレビ系)にゲスト出演することを願っているのは、私だけではないだろう。『御上先生』で築き上げてきたものは揺らいでしまうかもしれないが、そうして視聴者を翻弄してみせるのも俳優の仕事なのだ。とまれ、これから臼田のポテンシャルの高さを改めて私たちは知ることになるだろう。
「日本の教育を変えてやろう」という熱意を持ったエリート文科省官僚が高校教師となり、令和の18歳とともに、日本教育にはびこる権力争いや思惑へ立ち向かうオリジナル学園ドラマ。
■放送情報
日曜劇場『御上先生』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:松坂桃李、奥平大兼、蒔田彩珠、窪塚愛流、吉柳咲良、豊田裕大、上坂樹里、髙石あかり、八村倫太郎、山下幸輝、夏生大湖、影山優佳、永瀬莉子、森愁斗、安斉星来、矢吹奈子、今井柊斗、真弓孟之、西本まりん、花岡すみれ、野内まる、山田健人、渡辺色、青山凌大、藤本一輝、唐木俊輔、大塚萌香、鈴川紗由、芹澤雛梨、白倉碧空、吉岡里帆、迫田孝也、臼田あさ美、櫻井海音、林泰文、及川光博、常盤貴子、北村一輝
脚本:詩森ろば
脚本協力:畠山隼一、岡田真理
演出:宮崎陽平、嶋田広野、小牧桜
プロデュース :飯田和孝、中西真央、中澤美波
教育監修:西岡壱誠
学校教育監修:工藤勇一
製作著作:TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/mikami_sensei_tbs/






















