臼田あさ美が女優として秘めるポテンシャルの高さ 『御上先生』後半戦の新たな見どころに

臼田あさ美が女優として秘めるポテンシャル

 折り返し地点を過ぎたところで、ドラマとしての印象を変えてきた『御上先生』(TBS系)。主人公である教師・御上孝(松坂桃李)は、これまでつねに冷静沈着な態度で生徒たちに接してきた。すると自然と、生徒たちは変わる。生徒たちが変われば御上だって変わることになるかもしれない。それが起きたのが、前回の第6話だったのだ。そしてそこでは一色真由美という思いがけぬ人物が、じつはキーパーソンであることが分かった。演じているのは臼田あさ美である。

 この日曜劇場『御上先生』は、まったく新しい学園ドラマだ。主演の松坂が演じる御上は、文部科学省のエリート官僚にして教師。その彼が官僚派遣制度によって、名門校である隣徳学院の3年生の担任を務めることになったのだ。御上は学生時代に経験したある事件をきっかけとして、日本の“教育”というものを本気で変えようとしている。自ら思考し、行動する“真のエリート”へと、生徒たちを導こうとしている。日本の教育現場を侵す腐敗した権力に対し、生徒たちとともに挑んでいるところなのだ。

 そんな本作で臼田が演じている一色真由美は、養護教諭である。いわゆる“保健室の先生”だが、彼女は生徒だけでなく、ときには教師たちの心のケアも行う頼もしい存在。御上とはまた違う冷静沈着さで、隣徳学院で日々を送る人々から支持されている。臼田の演技はセリフ回しも所作の一つひとつも穏やかで緩やか。物腰の柔らかな人物像を立ち上げている。

 『御上先生』はヒリヒリしたドラマが展開する作品とあって、このようなキャラクターの存在は欠かせない。彼女が初登場したときからそう思ってきた。たとえ大きな見せ場のない人物だとしても、一色の元を訪れる者たちへのケアをとおして、いつの間にか私たち視聴者をもケアしている。本作に関わるすべてを密かにサポートする存在なわけだ。

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