『デアデビル:ボーン・アゲイン』は“MCUの限界”を押し広げる オンライン会見をレポート

3月5日からディズニープラスで配信されるマーベルのドラマシリーズ『デアデビル:ボーン・アゲイン』のキャストと製作陣によるオンライン会見が現地時間2月22日に開催された。参加したのは、マット・マードック/デアデビル役の主演チャーリー・コックスとウィルソン・フィスク役のヴィンセント・ドノフリオ、そして製作総指揮を務めるダリオ・スカルダパン、エグゼクティブ・プロデューサーのサナ・アマナット、ブラッド・ウィンダーバウム、エグゼクティブ・プロデューサー・監督のジャスティン・ベンソン、アーロン・ムーアヘッド。マーベルの公式ポッドキャストの共同ホストであるサデ・スペンスが司会を務めた本会見では、ネタバレを避けてそれぞれが作品やキャラクターについて語った。
マット・マードックとウィルソン・フィスクの“現在地”
『デアデビル』の物語が、2018年に配信されたシーズン3ぶりに再開される。マーベルファン待望と言えるこの最新作『デアデビル:ボーン・アゲイン』だが、マット・マードック自身はMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)に本格的に参加するにあたって、これまでも他作品にカメオ出演してきた。そんな彼の現在について、演じるコックスは以下のように語る。
「ご存知の通り、マットは最初の頃トラウマを患っていました。そのため、彼は自身のアイデンティティを再考し、再発見しなければならなかった。それが本作で未だかつてないほど深い意味を持つことになります。彼は言うなれば、“絆創膏”と言えるような道を辿ることになるんです。ゆっくりと、痛みを伴っても……剥がさなければいけないって意味でね。でも、オリジナルの『デアデビル』シリーズのファンにとっては、同じマット・マードックですよ」
一方、シリーズを通して長年マードックと対立関係にあった“キングピン”ことウィルソン・フィスクを演じるドノフリオも、前作から時間の経った今、自身の演じるキャラクターについてこう語る。
「フィスクとマードックは“昼光の中”で生きようとしているんです。2人には共通点がある。それは2人とも“壊れている”こと。昼光の中を生きようとしている吸血鬼を想像してみてください。彼らにとってそれは苦痛です。それがまさに、この2人の状況だと言えるでしょう」
マードックを語る上で欠かせないフィスクの存在。ドラマシリーズ『エコー』でも印象的な姿を見せていた彼だが、本作では“心機一転”するのかもしれない。フィスクの試みについて、ネタバレを避けながらドノフリオは「彼には……“ミッション”があるんです」と答える。
「フィスクはNetflix版『デアデビル』の彼と同じ男のままです。ただ、本作では“新しい計画”を持っている。彼が最初にしなければいけないことは、妻との関係を整理することですね。しばらく家を空けていたから。それが非常にエキサイティングなことに変わっていくんです。そして本作のフィスクが持つもう一つの側面は、彼の計画……自分の影響力を広げることです。どこまで支配できるようになるか、その計画を“昼光の中で”生きながら進めなければいけないのが、苦労の種になります」
マードックとフィスクはこう着状態が続いているが、コックスとドノフリオの仲は深まるばかりだと言う。
「この10年間で、私たちはとても仲の良い友達になりました。仲が良くなればなるほど、腹が知れているから気にせずにお互いを憎み合うことができるんです(笑)。知り合って長くなると、お互い自分の役を演じるのが好きなことを含めて、共通点がいくつも浮かび上がってくる。僕はコックスに恋していると言ってもいいでしょう。そして彼を愛するほど、彼を憎むことが好きになるんです(笑)」
製作陣が語る、『デアデビル:ボーン・アゲイン』
Netflix版『パニッシャー』を指揮し、本作も牽引するスカルダパンは、Netflix版『デアデビル』の特徴を“心と筋肉の癒合”だと話す。彼らのハイレベルなアクションの中に常に人間味を見つけられるような、キャラクターの深みが感じられる演出がなされていた、と。それを進化させるのが『デアデビル:ボーン・アゲイン』での自身の役割だと語る。
そのため、以前の『デアデビル』でスタントコーディネーターを務めたフィリス・オリベイラが呼び戻されている。ウィンダーバウムは本作のバイオレンスな側面を『デアデビル』の原作コミックとの関係を踏まえた上で、以下のように語った。
「マードックとフィスクに立ちはだかる悲劇的なストーリーラインがたくさんある。それを私たちは『デアデビル:ボーン・アゲイン』で尊重しようと考えました。暴力的なシーンをひっくるめて、私はこの作品が“MCUの限界”を押し広げると思っています。『デアデビル』シリーズを復活させるという素晴らしい決断をした時、私たちはどこまでできるか分からず、最初はソフトなアプローチを取っていました。しかし、素材が届いて確認をしていくうちに、率直に言って、もう少しファンの期待に、そして私たち自身の期待に応えなければいけないと感じたんです。ダリオのヴィジョンは、本当に可能な限り“突き詰めること”だった。その限界点に向けて、我々はできる限り最大のパンチを映してきたつもりです」
『ミズ・マーベル』の主人公カマラ・カーンの生みの親であり、製作総指揮としてもドラマに携わったアマナットは、本作のアクションについて「変革的」だと語りながら、それ以外のシーンの魅力についても語る。
「本作には素晴らしいキャストが揃っていますが、特に女性キャラクターがみんな個性的で、とても強くてタフなのが気に入っています。特にアイェレット・ゾラーが戻ってきてくれることが嬉しかったです。ヴィンセントと彼女の共演シーンは観ているだけで彼らの信頼関係が感じ取れるし、ヴァネッサの存在があるからウィルソン・フィスクという人間の変化が見て取れる。彼の人間らしさが垣間見えるんです。ファンの私としては、そういう瞬間にフィスクに同情することがよくあるんです。ヴィランに対してそう感じられるのってすごいことだし、それはヴィンセントの演技の賜物ですね」
マーベル・コミックの編集者でもあり『デアデビル』のコミックに深く関わるアマナットは、加えて本作に向けてファンが予習するのに向いている作品として、チャールズ・ソウルの『フィスク市長』シリーズを勧めた。
「フランク・ミラーはもちろん、ブライアン・ベンディスとエド・ブルベイカーのシリーズのトーンやスタイルは私たちに大きな影響を与えています。もちろん、ロン・ガーニーにも感謝しなければなりません。彼はチャールズ・ソウルと『デアデビル』のシリーズを何度も手掛けたアーティストです」
























