『デアデビル:ボーン・アゲイン』は“MCUの限界”を押し広げる オンライン会見をレポート

『デアデビル:ボーン・アゲイン』会見レポ

再び戻ってきたニューヨークや懐かしい顔ぶれ

 本作は主人公が弁護士であるが故に、政治や法律、組織やギャングを扱う作品だ。そのため多くのロケ地に裁判所や警察署がある。だからと言って、画面が“退屈”になるわけじゃない。撮影監督のヒラリー・スペラと美術デザイナーのマイケル・ショウの手腕によって、映像を観ているだけで実際にそこにいるような、全てがリアルに感じられるようになっている。そう熱く語るのは、エグゼクティブ・プロデューサーであり監督も務めるベンソンだ。

「舞台となるニューヨークに関しては、“映画に出てくるニューヨーク”ではなく、皆さんが知っているニューヨークを捉えたかった。映像を見せられているというよりは、彼らと一緒にいるような気分になると思います。例えば、マードックのシーンでは手持ちカメラを使うことが多い。加えて広角レンズを使うと、彼の目の前に座っているように感じます。一方、フィスクがどこかの施設にいるシーンを撮る時は、静的なカメラを使用しました。彫像やモノリスのような、動かずに永続的なものを想起させるためです。そうすることで、より彼の存在を恐ろしいものとして映しました」

 さて今回、過去のドラマシリーズからカレン・ペイジ(デボラ・アン・ウォール)、フランクリン・“フォギー”・ネルソン(エルデン・ヘンソン)が再登場する。これがマードックの新たな旅路にとってどれほど重要なのか、ムーアヘッドは「彼らが最後に会ってからどのように進化したのか感じながら番組を始めることが大切でした」と語る。

「彼らの存在は温かくて大きなハグのようなものです。だからこそ、“ある出来事”が起きるとより悲劇的に感じるようになる。それがマードック/デアデビルの信仰を揺るがし、自分の居場所についてあらゆる疑問を抱かせることになる。そしてその悲しみはシーズンを通して波紋のように広がっていきます」

ヴィンセント・ドノフリオが絶賛するMCUのこれまで

 『デアデビル』の本格的なMCU参入となる本作。過去に『ムーンライト』の監督を務めたムーアヘッドとベンソン、製作総指揮を務めたウィンダーバウムが『デアデビル:ボーン・アゲイン』に参加したことについて、ドノフリオは「チャーリーといつも話していますが、本当に素晴らしいんです」と答えた。

「彼らは私が知る限り最も頭の良い俳優の1人と一緒に仕事をしていた。イーサン・ホークです。私は彼から『ムーンナイト』の撮影について詳しく聞いていました。その後、彼らは『ロキ』シーズン2にも参加している。『ロキ』は個人的にもお気に入りのドラマシリーズだったのですが、特にシーズン2は“暴力の扱い方”において、これまでテレビで観たことのないようなことをやっていた。彼らのやったことは信じられないことだと思うくらい、素晴らしかったです」

 『ムーンナイト』と『ロキ』を経て『デアデビル:ボーン・アゲイン』に参加することについて彼らは以下のように語った。

「興味深いことに、僕らは何年も前からすでに犯罪ドラマの脚本や監督を務めることの可能性について話し合っていました。今回それが実現して、長年の欲求を満たすチャンスを得た。しかしそれと同時に『ムーンライト』と『ロキ』での仕事が、自分たちの直感に頼っていたと再認識したんです。当時はまるで水から出た魚のようで、以前制作した5本のインディペンデント映画の制作スタイルとは非常に異なるスタイルで取り組んでいました。しかし幸いなことに、マーベルの世界はすぐに僕らにとって居心地の良い世界になった。うまくやれてこられたのは、僕らが不慣れな環境に対してもずっとワクワクしてきたからなのかもしれません」

『デアデビル:ボーン・アゲイン』のサプライズについて

 本作にはすでにジョン・バーンサル演じるパニッシャーが登場することが明らかにっている。コックスは彼の出演について「ジョン・バーンサルが出演している作品なら何でも観ます。彼は本当に才能のある俳優です。カリスマ性とエネルギーがある。人間としても、俳優としても毎日現場を楽しくさせてくれる」と語った。

 スカルダパンはコックスとバーンサル、そしてデアデビルとパニッシャーの関係について以下のように答えた。

「ジョンとチャーリーは全く違う。だから楽しいんですけど、ある意味でデアデビルとフランクは……とても似ています。フランクが一緒にいるシーンでのチャーリーは、私が恐れ、興奮するデアデビル像に近づくように感じるんです。だからファンの皆さんがパニッシャーの登場について楽しんでくれることを願います」

 さらに、予告編でも登場したミューズについては「マードックとフィスクのストレスの原因となる。そしてミューズに起こることは今シーズンを超えて将来にまで影響を与えることになるでしょう。具体的に何が起こり、それが2人にどのような影響を与えるのかは言えませんが……3つの言葉で表現するなら、それは“恐ろしく”、“暗く”、“不気味”です」と語った。

 最後に、ファンに『デアデビル:ボーン・アゲイン』から何を感じ取ってほしいと思うか聞かれたコックスとドノフリオは以下のようにコメントして会見をまとめた。

「ただ、ファンの皆さんが私たちと同じくらい興奮してくれること、作品が皆さんにとって面白いものとして出来上がっていることを願っています。本当に一生懸命に作り上げました。ファンの皆さんを信じて、ずっと彼らが望んでいると感じたものに向かって取り組んできたと思っています。だから、皆さんが心から楽しんでくれると嬉しいです」

■配信情報
『デアデビル:ボーン・アゲイン』
ディズニープラスにて、3月5日(水)より独占配信
©︎2025 Marvel

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「レポート」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる