『薬屋のひとりごと』毒味スープを作ってみた 薬効と旨味が溶け込んだ薬湯のような一品

『薬屋のひとりごと』毒味スープ作ってみた!

 この辺りの工程を終えると、材料たちが次第に色づき始め、かなり食欲をそそるビジュアルへと変貌していく。

ふんわりいい香りが……

 いよいよ佳境だ。鍋に貝柱、干しエビと白きくらげ、先ほど選別した鶏肉、椎茸、そしてB材料の全てを投入。ふたをして、とろ火でじっくりと30分煮込んでいく。そして最後の仕上げに、先ほどみじん切りにしておいた長ネギの白い部分を加えれば完成!(ネギの白い部分は最初ではなく、ここで入れるのが正解……!)

※毒は入っておりません

 ……美味しい! というのはグルメリポートでは野暮かもしれないが、とにかく鶏のスープがあっさりしつつもしっかりと旨味が凝縮されていて、するするとからだに染み入るように飲めてしまう。個人的には酒を楽しんだ夜の最後の締めくくりに飲みたいと思わずにいられない。そういう意味では華やかな宮廷の園遊会で振る舞われるのも納得できる。そして、白きくらげのぷるっぷるの食感がたまらず(コラーゲン!)、そんな栄養満点の一品を味わっている感覚に包まれた。

ぷるっぷる……!

 料理を作る前に料理・レシピ考案の真楠ヨウさんのnoteを読んだのだが、とにかく考案の試行錯誤がすごすぎて驚いた。「ベースを鶏湯に固定し、変数を一つずつ変えて味の差分を検証していきます。戻し汁あり/なし。具材を長時間煮込んだもの/短時間煮込んだもの。単一の素材だけを煮込んだもの/複数素材を煮込んだもの。香辛料を加えたもの/加えてないもの。直火による加熱/蒸気による間接加熱」と比較を繰り返していったそうだ。

 その中で、最後のスープの決め手にかけるところを、当時高価だった「乾物自体をメインにすれば」旨みが出ると掴んだとあり、本当に驚いた。一般家庭でも作りやすく、かつ当時の背景も感じられるような工夫に感謝しかない。これほどまでに情熱と知識を注ぎ込んで生まれたレシピだからこそ、家庭で作ってもその味わいは格別なのだろう。

 やや材料集めのみ難しいとはいえ、これは調合してみる(?)価値がありすぎる。猫猫のように「これ、毒です」と宣言することはできないが、乾物の薬効と旨味が溶け込んだ薬湯のような一品は、きっとあなたの体を内側から温め癒すだろう。園遊会の“あのスープ”をぜひ一度、自らの手で作ってみてはいかがだろうか。

参照
※ https://scawaiiweb.com/articles/detail/59480

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