安田顕と奥野瑛太が“安定感”をもたらす 『日本一の最低男』でバイプレイヤーが担う役割

『日本一の最低男』安田顕&奥野瑛太の役割

 いっぽうの奥野が演じたのは、一平の姪っ子・ひまり(増田梨沙)の父親である中林康太。現在のひまりには正助という父親がいるわけだが、このふたりに血の繋がりはない。そう、ひまりたちの前から忽然と姿を消してしまった康太こそが実父なのだ。そんな彼が数年ぶりに、小学生になったひまりの前に現れるのである。家族を捨てた彼もまたかなりの“最低男”だといえるが、彼には彼なりに、そうしないわけにはいかない理由があったらしい。

 しかし、いまさらこうして現れた康太に対し、正助は怒り心頭、そんなふたりを前に一平も感情的な一面を見せた。いままでにない展開である。香取と志尊は穏やかさを欠いた動的なパフォーマンスを実践していたが、これは奥野が引き出したものだともいえるだろう。そこには自分勝手に家族を捨てた男はいたが、クズ男などはどこにもいなかった。涙ながらに過去を悔やむ言葉を口にし続ける男の姿があるのみ。この奥野の力演によって、香取と志尊はより感情をかき乱されたのではないだろうか。奥野が中心となる一連のシーンは、まるで映画のようだった。それくらい、力強い場面になっていたのである。

 安田といえば現在は大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合)で平賀源内を好演中で、奥野は2024年の秋に配信がスタートした『さよならのつづき』(Netflix)で主人公らの友人を演じ、これまた好演が話題を呼んでいる。いずれも作品の柱となる主人公を支える、重要な役どころである。世代は異なるが、安田も奥野も日本の映画やドラマに欠かせないバイプレイヤーだ。そんな者たちの存在があってこそ、『日本一の最低男』は絶妙なバランスで成立している。奥野の再登場を、そして、安田と香取がこれまでとは違う掛け合いをすることを(つまり、一平と考次郎の衝突である)、どうしても望まずにはいられない。

『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』の画像

木曜劇場「日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった」

“日本一の最低男”である主人公・大森一平が、家族を、社会を、そして日本を変えていくために奮闘する姿を描く完全オリジナル作品。

■放送情報
『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:香取慎吾、志尊淳、冨永愛、増田梨沙、千葉惣二朗、向里祐香、佐野玲於、橋本じゅん、安田顕ほか
脚本:政池洋佑、蛭田直美、おかざきさとこ、三浦駿斗
演出:及川拓郎ほか
プロデュース:北野拓ほか
主題歌:香取慎吾「Circus Funk(feat. Chevon)」(トイズファクトリー)
制作協力:テレパック
制作・著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/saiteiotoko/
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