『秘密』門脇麦が過去を知る監察医役で本格登場 未来を予見していた原作の先見性

『秘密』門脇麦が監察医役で本格登場

 第3話で出番がなかったぶん、第4話は雪子のキャラが前面に出ていた。雪子は法医第一研究所(第一)の監察医で、薪(板垣李光人)と亡くなった鈴木(中島裕翔)の大学の友人だ。原作の雪子はプライドの高い女性医師だが、ドラマ版も基本的に踏襲している。それだけだと、演技巧者の門脇をわざわざ持ってくる意味が薄いようにも思えるが、実は雪子は鈴木の婚約者でもあった。

 鈴木はすでにこの世にいないが、薪と雪子の心から鈴木の面影が離れることはなかっただろう。鈴木とそっくりな青木に、雪子の視線が向かうのは当然と言えばそうだ。ましてや青木はなんの警戒心も抱くことなく、一人で自分を訪ねてくるのだ。そんなことで心を動かされる雪子ではないのだが、状況が状況なだけに、2人が行動を共にする中で互いを知り、信頼が芽生える様子が演技を通して伝わってきた。

 青木の姉・和歌子(佐津川愛美)の言葉(「ああいう一行がいいって女の子、絶対いるから」)がわかりやすい恋愛フラグだとして、薪と雪子に挟まれた青木がそれぞれに対するバディの役割を担っていることに注目したい。青木のポジションはかつての鈴木であり、男女3人のうち一人が入れ替わり、欠落を埋めながら新しい関係をつむぐ。その中で過去と現在が幾重にも折り重なる、という本作の構図が明確になったのが第4話だった。

 予定された軌道を走る鉄道は加速するストーリーを暗示し、運命共同体としての青木と雪子の高鳴る鼓動を映すようだ。室長の薪はもっぱら司令塔に徹しているが、雪子の中で起きつつある変化を、誰よりも鋭敏に感じ取っているだろう。なお、第4話から雪子の助手スガちゃん(鳴海唯)が登場した。死体の横で眠る雪子に容赦なくダメ出しする台詞から、原作へのリスペクトが見えた。

『秘密~THE TOP SECRET~』の画像

秘密~THE TOP SECRET~

人気漫画『秘密-トップ・シークレット-』を実写ドラマ化するヒューマンサスペンス。科学警察研究所の法医第九研究室、通称“第九”を舞台に、室長の薪剛と新米捜査員の青木一行のバディが、解決不可能とされていた事件の真相を解き明かしていく。

■放送情報
『秘密~THE TOP SECRET~』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00~22:54放送
出演:板垣李光人、中島裕翔、門脇麦、高橋努、鳴海唯、利重剛、眞島秀和、國村隼ほか
原作:清水玲子『秘密-トップ・シークレット-』『秘密 season0』(白泉社『メロディ』連載)
脚本:佐藤嗣麻子
演出:松本佳奈、宝来忠昭、根本和政、稲留武
プロデューサー:豊福陽子、近藤匡、近藤多聞
音楽:小島裕規“Yaffle”
主題歌:「Iris」BUDDiiS(SDR inc.)
制作協力:C&Iエンタテインメント
制作著作:カンテレ
©︎カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/top-secret/
公式X(旧Twitter):https://x.com/himitsu_ktv
公式Instagram:https://www.instagram.com/himitsu_ktv/
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