『べらぼう』風間俊介の“悪い笑顔”にゾクゾク 全仕事人が参考にするべき蔦重の“気概”

『べらぼう』風間俊介の悪い笑顔にゾクゾク

 それは忘八のひとりである「松葉屋」の主人・半左衛門(正名僕蔵)と、女将のいね(水野美紀)、そして花の井による粋なサプライズでもあった。「細見がバカ売れするのは有名な名跡の襲名が決まったときさ!」とひらめき、そのまま花の井が伝説の名跡とも言われる「5代目瀬川」を継ぐことに。もちろん単なる思いつきで実現するようなことではない。松葉屋としても、そして誰よりも花の井自身の覚悟も必要なもの。それでも、心意気を見せるときだと腹をくくったのだ。

 振り返れば、蔦重の細見が出来上がるまでに、本当に多くの人が手を貸してくれた。何度も何度も原稿を書き直し、これまでにないくらい細かな文字で版を掘ることになり、そして本を閉じた後に最新情報を入れ替える……それもこれもそれだけ人を動かす蔦重の気概があったから。「細見を倍売るためにどうしたらいいか」という問いには、それを達成しようという仲間をたくさん作ること。それが蔦重の出した大きな答えと言えそうだ。

 そうして見事、「倍売れるかもしれませんね」と鶴屋に言わせることに成功した蔦重。だが「売れるかもしれませんが……」と不穏な笑顔を見せる鶴屋にゾクゾクする。きっとこのまま倒されるようなキャラではないことが、この余裕の笑みから見て取れる。

 さらに、地獄の底から舞い戻ったかのような鱗形屋の姿も。どうやら、予告映像を見るに鱗形屋が再起を果たすようだ。一難去ってまた一難。しかし、蔦重にとっては苦しい局面の連続ではあるものの、その一筋縄にはいかない日々こそが彼を成長させているようにも見える。今後も新たな試練にぶつかるたびに生まれる、蔦重のアイデア、そして周囲の人々の協力の輪が広がっていく様子を、「自分だったらどうするだろうか?」なんて考えながら楽しみたい。

■放送情報
大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』
総合:毎週日曜20:00〜放送/翌週土曜13:05〜再放送
BS:毎週日曜18:00〜放送
BSP4K:毎週日曜12:15〜放送/毎週日曜18:00〜再放送
出演:横浜流星、小芝風花、渡辺謙、染谷将太、宮沢氷魚、片岡愛之助
語り:綾瀬はるか
脚本:森下佳子
音楽:ジョン・グラム
制作統括:藤並英樹
プロデューサー:石村将太、松田恭典
演出:大原拓、深川貴志
写真提供=NHK

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