『べらぼう』を楽しむには『大奥』も必見! 冨永愛、風間俊介、中村蒼ら“転生”人物を整理

NHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(NHK総合、以下、『べらぼう』)には、NHK総合の「ドラマ10」枠で放送された男女逆転版『大奥』や近年の大河ドラマに出演した俳優が数多く登場する。特に、『べらぼう』の脚本を務める森下佳子が男女逆転版『大奥』の脚本も務めていたことから、『大奥』での役柄が頭に浮かぶ視聴者も少なくないはずだ。
徳川吉宗から大奥の最高権力者・高岳へ

冨永愛は2023年放送の『大奥』(NHK総合)で8代将軍・徳川吉宗を演じ、反響を呼んだ。そんな冨永は『べらぼう』で大奥総取締の高岳を演じる。
第4回での松平武元(石坂浩二)と対峙する場面では、武元の意図を汲むようなまなざしが印象的だった。冨永の佇まいには高岳と武元の拮抗する力関係だけでなく、高岳がもつ幕政への影響力が感じられる。
冨永はNHK大河ドラマ・ガイド『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~前編』(NHK出版)の中で「(ドラマ『大奥』と)同じスタッフが手がける『べらぼう』に出演できることがうれしいです。『大奥』では男女の役割が逆転した世界だったので、混乱してしまうのが目下の悩みですが(笑)、御鈴廊下を再び歩けることを心から楽しんでいます」とコメント。大奥を存続させる使命を背負い、田沼意次(渡辺謙)や武元と腹を探り合う高岳の立場を楽しみながら演じていることがうかがえる。
大奥総取締・杉下から地本問屋の鶴屋喜右衛門へ

『べらぼう』第4回で、鱗形屋孫兵衛(片岡愛之助)とともに蔦重を嵌めた鶴屋喜右衛門を演じるのは風間俊介。風間は、『大奥』で吉宗を長年側で支え続けた大奥総取締・杉下を好演。杉下は、長年吉宗をサポートし続けた人物であり、最後には男女の仲ではない吉宗と夫婦になる。多くの人に慕われる杉下には名場面が多々あり、視聴者の涙を幾度となく誘った。
一方で、風間が演じる鶴屋はSNS上で「悪い方の風間俊介」と表されるような役柄である。江戸市中の“地本問屋”のリーダー的存在である鶴屋。鶴屋は人の良さそうな笑みをたたえながらも、仲間うちで認められた者でなければ板元にはなれないという地本問屋の「定」を口にする。唖然とし、激怒する蔦重とは対照的に、風間の演技は冷徹な雰囲気のまま。蔦重を仲間として認めるつもりのない断固とした姿勢が感じられ、今後の蔦重との対立構造に期待が高まる。
松平定信から大黒屋の女将・りつへ

安達祐実演じる大黒屋の女将・りつは、のちに主人公・蔦重こと蔦屋重三郎(横浜流星)の出版業に影響を与える人物となる。第1回〜第6回までのりつは、吉原を取りまとめる個性豊かな忘八の一人として登場し、目立った動きはまだないが、りつを演じる安達の佇まいには女郎屋の主人たちに決して引けを取らない気の強さが感じとれ、貫禄がある。
そんな安達は『大奥』で田安定信(松平定信)を演じていた。『大奥』では田沼意次役の松下奈緒、一橋治済役の仲間由紀恵、そして定信役の安達による迫力に満ちた演技の応酬が印象深い。
なお、『べらぼう』では松平定信(田安賢丸)を寺田心が演じている。SNS上では「寺田心さんと安達さん、子役時代から知られた2人が、同じ人物を演じるというのも面白い繋がり」「天才子役だった安達祐実が演じてた松平定信を、天才子役だった寺田心が演じてると思うと感慨深い」といった声があがっていた。安達版定信が田沼に恨みの矛先を向け、怒りをあらわにする姿を思い浮かべながら、今後、寺田が渡辺謙演じる田沼と敵対する姿をどのように演じるのかを楽しむのも面白いかもしれない。