『おむすび』愛子がブログ閉鎖を決めたワケ 先人の歩みの上にある“朝ドラの現在”

『おむすび』愛子がブログ閉鎖を決めたワケ

 『おむすび』(NHK総合)第94話では、愛子(麻生久美子)の浮気疑惑が一件落着した。

 歩(仲里依紗)から愛子がダンディーな男性と一緒にいたと聞き、聖人(北村有起哉)は食事が喉を通らない。翔也(佐野勇斗)から愛子のことを聞いた結(橋本環奈)は歩に電話。結と歩は愛子と3人で会うことになった。

 娘2人から浮気の真偽を聞かれた愛子は名刺を取り出す。浮気を「するわけないじゃん」と否定した愛子は、事の次第を説明。面会相手の白木(須賀貴匡)は出版社勤務で、愛子のブログ『うちのギャルさん』の読者だった。書籍化を打診する白木の提案を愛子は断る。理由は「結と歩が嫌な思いをするかもしれない」からだった。

 ブログ(ウェブログ)は2000年代初頭に登場し、2010年代に一大ブームとなった。多くのタレント、芸能人がブログを開設し、ブログから人気に火がついた者もいた。ブログの連載をまとめて書籍化するなかで、ベストセラーも生まれた。愛子がブログを開設したのは2004年で、地道に更新して多くの読者を得ていたと推察される。

 愛子はブログ閉鎖を決めた理由として「良いコメントばかりじゃなくなって」しまったことを挙げる。平成から令和に変わるタイミングで、フェイクニュースや週刊誌のスクープの影響もあり、ウェブ上の反応は過熱化。性善説をベースに内輪のノリで更新する個人にとって、気を遣うことが増えたのは確かだ。

 愛子のブログは、誤解を恐れずに言えば私生活の切り売りである。歩と結は拒まなかったが、自分のことを書かれることをやめてほしいと思う人もいるだろう。これ以上続けると家族を人目にさらすことになる、という愛子の判断は賢明だったと思う。

 夫と一緒に理髪店を営む中で、娘2人を育て上げた愛子。気さくな性格で商店街の人々からも親しまれている。地元を離れて女3人で乾杯できる時間は幸せそのものだが、そんな中でも思い残すことはあったことが明かされる。

 出版社のオフィスに足を踏み入れた愛子は「なんか初めて自分が社会に出たような気がしたんだよね。ほら、お母さん、18の時に名古屋の家を飛び出して、そのままお父さんと結婚したでしょ? 1回も会社に就職したことなかったから、すごく新鮮でドキドキした」とその時の印象を語る。

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