朝ドラヒロインの“親”が担う役割は? 北村有起哉&麻生久美子『おむすび』コンビの尊さ

朝ドラヒロインの“親”が担う重要な役割

 放送中の朝ドラ『おむすび』(NHK総合)は、気がつけばもう後半戦である。自分らしさを貫く“ギャルマインド”で生きるヒロイン・米田結(橋本環奈)はいまでも若々しいが、気がつけば一児の母だ。にぎやかな日々を重ね、山あり谷ありの人生を歩んでいくうち、米田家の面々との関係も少しばかり変わったり変わらなかったり。個人的には彼女の両親である聖人と愛子の存在を好ましく思っている。演じているのは北村有起哉と麻生久美子だ。

 本作は、平成元年生まれの結が栄養士として、「食」をとおして人々と未来を結んでいく青春模様を描くもの。物語は福岡の糸島からスタートしたが、結の生まれは兵庫の神戸だ。高校を卒業し、「神戸栄養専門学校」に入学するタイミングで、両親とともに故郷に帰ってきた。現在は管理栄養士として大阪の新淀川記念病院で働き、両親は神戸で「ヘアサロンヨネダ」を営んでいる。その関係は羨ましいほど良好だ。


 けれども、これまでにはいろんなことがあった。気づけば時代は平成30年。うっすらとではあるが、物語の背景には平成史がうねっている。阪神・淡路大震災で米田家は被災し、友人を亡くした結の姉・歩(仲里依紗)は心に深い傷を負った。それにより米田家という共同体は歪なカタチになってしまったりもしたものだが、一人ひとりが精神的に成長し、自分の傷にも他者の傷にも向き合えるようになったことで、再びこの一家はかつてのような明るさを取り戻した。朝ドラはヒロインの人生を描くものだから、この物語の中心に立つのも、米田家の中心に立つのも、やはり米田結だ。しかし、人間はひとりだけでは立っていられない。ときにそれを支え、ときに引っ張る存在が必要だ。それが聖人と愛子である。

 ふたりのコンビネーションは抜群だ。聖人はいつだって結のことが心配でしょうがなく、真面目で、ちょっと不器用なところがある(理容師なのだから手先は器用だ)。責任感が強く、家族だけでなく地域のコミュニティなど、リーダーになれる素質の持ち主だ。いっぽうの愛子は対照的で、娘たちに対して寛容であり、それでいて勘が鋭く、器用に立ち回ってみせたりする。リーダーというよりはサポートするのが得意。好対照で相性のいい夫婦である。

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