『おむすび』で“かわいくなりたい”を描いた理由とは? 麻利絵役・桧山ありすの起用意図も

NHK連続テレビ小説『おむすび』が現在放送中。平成元年生まれの主人公・米田結(橋本環奈)が、どんなときでも自分らしさを大切にする“ギャル魂”を胸に、栄養士として人の心と未来を結んでいく“平成青春グラフィティ”。
第19週、大阪新淀川記念病院で管理栄養士として働く結が出会ったのは、低栄養で入院する女子高生。前週には堀内(関秀人)が患った「潰瘍性大腸炎」がXでトレンド入りするなど話題となったが、ドラマで取り上げる症例をどのように選んでいるのか。
制作統括の真鍋斎は「脚本を作るにあたり、様々な年代の管理栄養士さんや医師の方々に取材をして症例を60~70件ほど集積しました。若い方、働き盛りのサラリーマン、さらには中高年とバランスを取りつつ、現代性があるもの。なおかつ食事と密接に関わっている題材をいくつかピックアップして、そのエピソードをドラマに盛り込んでいます」とテーマ選択の意図を明かす。

同じく制作統括の宇佐川隆史は「戦後に『空腹の中で、どう栄養を効率よくとればいいのか』『何でカロリーを摂取すればいいのか』といった、栄養効率のよい食生活を目的に栄養士が誕生しましたが、飽食の時代になった今のほうが『映えを優先して食べない』『逆に食べ過ぎて糖尿病になってしまう』などと、実は問題が複雑化しているんです」と語り、「これまでにも避難所をはじめ様々な場における食の大切さを描いてきましたが、病院編では、今向き合ってほしい食の問題を取り上げたかたちです」と続けた。
結らNSTが担当する曽根麻利絵(桧山ありす)は低栄養、低血糖、低血圧、そして中程度の肝機能異常で入院中。BMI16.1とかなり痩せているが、ダイエットを理由に脂質と糖質を制限しており、食事管理に応じようとしない。
真鍋は「思春期やせ症は深刻な問題ですが、朝のドラマとして暗くなりすぎずに描けないかと考える中で、医師や管理栄養士の方から『こういう設定だったら、ありうるものです』とお聞きして。ルッキズムというような大きなテーマでなくとも、純粋にSNSを見ながら『かわいくなりたい』『綺麗になりたい』と考える子はいる。さらに、ギャルは“かわいさ”を追い求める人たちなので、『それがいけないのか?』と問われたときに、結、あるいは歩自身の考え方にも跳ね返ってくるだろうな、というところもありました」と狙いを語る。