『ババンババンバンバンパイア』浪川大輔の森蘭丸が癖になる! 声で体現した原作の世界観

『バババ』浪川大輔の森蘭丸が癖になるワケ

 浪川の声があってこそ重さを感じさせない心地よさがある、本作を特徴づけるモノローグの数々もポイントだろう。蘭丸の過去や李仁への秘めた想いがとにかく間に挟まってくるのだが、不思議と観ていて間延びしている感じはしない。それはきっと、セリフのテンポの良さはもちろんのこと、浪川の柔らかい声色には「ずっと聞いていられる」不思議な魅力があるからだろう。蘭丸の過去が垣間見える場面、特に第1話での織田信長とのやりとりでは、ギャグの中にも確かな切なさが漂い、思わず心を揺さぶられた。蘭丸が何を思い、何を見てきたのか。浪川の声で彩られたモノローグと共に最終話まで伴走できることを嬉しく思う。

 『バババ』の生放送特番では、浪川自身が森蘭丸の言葉遣いの面白さにも触れており、説明の際の言葉選びにも注目してほしいと語られている。第1話ではまだ垣間見える程度だが、これもまた本作の見どころの一つとなりそうだ。

 茶目っ気たっぷりだったかと思えば不意に真摯な表情を見せ、時には覗く狡さまでもが愛おしく感じられる。そんな浪川の声が、450年を生きた吸血鬼の忙しない内面を鮮やかに描き出す本作。これほどまでに、主人公に喋り続けてほしいと思わせられる作品も珍しい。未見の方も、原作ファンという方も、浪川演じる蘭丸が紡ぎ出す言葉の数々を存分に楽しみながら、物語の世界観に浸ってみてはいかがだろうか。

■放送情報
『ババンババンバンバンパイア』
テレビ朝日系“IMAnimation”枠にて、毎週土曜23:30~放送
Netflixにて、地上波放送直後より独占配信開始
キャスト:浪川大輔(森蘭丸役)、小林裕介(立野李仁役)、風間万裕子(篠塚葵役)、八代拓(篠塚健(フランケン)役)、小西克幸(坂本梅太郎役)、関根明良(山羽カオル役)、中村悠一(森長可役)
原作:奥嶋ひろまさ(秋田書店『別冊少年チャンピオン』連載)
監督・脚本:川崎逸朗
助監督:球野たかひろ
キャラクターデザイン・総作画監督:番由紀子
サブキャラクターデザイン:南方麻奈美
総作画監督:増田俊介、清丸悟
プロップデザイン:池森絵美、増田俊介、田村亮太
色彩設計:吉村智恵
美術監修:加藤浩(ととにゃん)
美術監督:坂上裕文(ととにゃん)
美術設定:加藤 浩(ととにゃん)、浅見由一(ととにゃん)
撮影監督:小池里恵子(Assez Finaud Fabric.)
編集:平木大輔(Assez Finaud Fabric.)
2Dデザイン:池内翔
3DCGディレクター:海瀬大
特効:石原智美
オープニングテーマ:BLUE ENCOUNT「Bloody Liar」
エンディングテーマ:ぼっちぼろまる「NE-CHU-SHOW」
音楽:市川淳(Julydex)
音響効果:小山恭正
音響制作:ビットグルーヴプロモーション
アニメーション制作:GAINA
©奥嶋ひろまさ(秋田書店)/アニメ「バババ」製作委員会
公式サイト:https://bababa-anime.com
公式X(旧Twitter):@bababa_anime

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