ロサンゼルスの山火事、北米映画興行に影響なし 週末No.1はジェラルド・バトラー新作

LAの山火事、北米映画興行に影響なし

 カリフォルニア州ロサンゼルスで1月7日から続いている山火事の被害は、およそ150平方キロメートル、建物1万棟以上にのぼり、被害総額は1500億ドル(約23.5兆円)を超える見込みだ。火災の発生したエリアはハリウッド近郊とあって、多くのセレブリティたちも自宅を失った。

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ロサンゼルスが、燃えている。米カリフォルニア州ロサンゼルス近郊で1月7日午前(現地時間)に発生した山火事は延焼が拡大し、10日午…

 “映画の街”ロサンゼルスは、興行面でも国内有数の巨大市場だ。しかし不幸中の幸いだろう、この山火事は現地の映画興行に大きな影響を出していない。特に被害の大きい場所では10日(金曜日)に劇場4館が営業を中止し、いくつかのエリアでは客足に影響が出たが、ロサンゼルスは変わらず国内の映画興行を牽引。1月10日~12日の北米週末興収でロサンゼルスの占める割合は約8%であり、年間平均の7.9%とほぼ変わらなかった。

 週末ランキングのNo.1は、ジェラルド・バトラー主演のクライムアクション映画『ザ・アウトロー』(2018年)の続編『Den of Thieves 2: Pantera(原題)』。週末3日間の興行収入は1550万ドルで、同じく1月公開だった前作の初動成績と同等の滑り出しとなった。

 本作は、バトラー演じる刑事ニックが、オシェア・ジャクソン・Jr.演じる強盗犯たちのダイヤモンド強奪計画を追う物語。製作費は4000万ドルと抑えめだから、前作の北米累計興収が8000万ドルだったことを鑑みれば、今後の流れ次第では劇場興行でのコスト回収も夢ではない。

 Rotten Tomatoesでは批評家スコア58%・観客スコア79%、劇場出口調査に基づくCinemaScoreでは「B+」評価。注目すべきは熱心な映画ファンの支持が大きいことで、別の調査では、観客の23%が「週1回は映画館に行く」、37%が「月1~2回は映画館に行く」と答えた。また、鑑賞の動機は「ジェラルド・バトラーが出ているから」が46%、「好きなシリーズだから」が29%だった。

 観客の63%は男性で、そのうちの多くがパートナーを連れて劇場を訪れたそう。年齢層では35歳以上が全体の52%、25歳~34歳が33%だから、大人の観客に支持されるアクション映画であることも明らかだ。今週も新作の少ない週ではあったが、やはり“大人向け映画”の復活を示唆する一例といえる。

 なお北米配給を担当するライオンズゲートにとって、本作の初登場No.1は久々の快挙。2024年、同社は人気ゲームの実写版『ボーダーランズ』や、フランシス・フォード・コッポラ監督のSF大作『Megalopolis(原題)』をはじめ、『クロウ/飛翔伝説』(1994年)のリメイク版『The Crow(原題)』、デイヴ・バウティスタ主演のアクションコメディ『The Killer’s Game(原題)』など7作連続で興行的惨敗を喫した。同社は海外配給権を外部に販売する戦略を取っており(本作も日本公開は未定だ)、ビジネス的に致命的な痛手はなかったとみられるが、それでもダメージが蓄積されていたことは確かだ。

 もっとも今年、ライオンズゲートは『ジョン・ウィック』シリーズのスピンオフ映画『From the World of John Wick: Ballerina(原題)』や『ソウ』シリーズ最新作『Saw XI(原題)』、マイケル・ジャクソンの伝記映画『Michael(原題)』といった話題作が待機中。巻き返しの1年として幸先は上々だ。

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