『名探偵コナン』は警察をどう描いてきた? 『ハイウェイの堕天使』でも描かれた“光と陰”

『名探偵コナン』シリーズにおいて、“警察”は重要なポジションを占めてきた。劇場版最新作『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』も例外ではなく、神奈川県警を中心とした警察官たちが活躍する話となっている。

そこで本稿では、同シリーズで「警察がどんなふうに描かれてきたのか」に注目。主に劇場版の過去作を取り上げながら、作品のテーマに関わる部分を深く掘り下げていきたい。
まず大前提として『名探偵コナン』はミステリー作品なので、探偵が事件の謎を解き、犯人を特定するという展開がお決まりとなっている。しかしそこで実際に犯人を捕まえるのは、警察の役割だ。あくまで一市民に過ぎない探偵は、警察官との協力なくして、事件に収拾を付けることはできない。そこで警察組織は現実の社会と同じように、“法の番人”としての役割を担っていると言えるだろう。
『名探偵コナン 純黒の悪夢』

そのため必然的に作中では、コナンたちと協力する正義の味方として警察が描かれる機会が多くなる。とくに劇場版では、その活躍がより華々しく立派なものとなりがちだ。たとえば第20作『純黒の悪夢』は、日本の警察やFBIと黒ずくめの組織との正面衝突を描いた名作だった。
あらすじとしては、黒ずくめの組織のメンバー・キュラソーが各国の情報機関に所属する諜報員たちのデータを盗み出し、幹部のジンがスパイを始末しようと動き出す……というのが大まかな流れ。そこで公安警察の安室透こと降谷零やFBI捜査官の赤井秀一が、コナンとともに大活躍を繰り広げるのだった。
とはいえ重要なのは、彼らの活躍が決して表沙汰にならないことだ。黒ずくめの組織との闘いを、普通に暮らしている人々が目にすることはない。すなわち彼らが体現しているのは世間に称賛されるヒーローではなく、人知れず社会を守るプロフェッショナルとしての警察像だと思われる。
『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』

また社会の裏側で活躍する警察の姿を描いた作品としては、第25作『ハロウィンの花嫁』も挙げられるだろう。しかも同作は、警察官同士の“絆”をめぐる物語でもあった。
同作の犯人役に据えられているのは、プラーミャという名で知られる謎の爆弾魔。実はこの人物は、安室と警察学校で同期だった“警察学校組”の面々と深い因縁があり、正体を隠しながら凶悪な爆破事件を起こそうとする。
作中の回想シーンでは、松田陣平が殉死した萩原研二のことを思い出し、プラーミャの爆弾を処理する手がかりを得る場面が登場。また現在の時間軸として、捜査一課の佐藤美和子が松田の死という忌まわしき過去と対峙する姿も描かれている。そこで示されている警察像は、淡々と職務をこなす冷たい組織というイメージとはまったく異なる。むしろ強い結束力をもち、熱い想いに突き動かされながら犯人を追う“仲間たち”の姿だ。





















