バカリズム脚本作品は冬との親和性が高い 『ホットスポット』の“会話劇”に寄せる期待

肩を縮めて口からでる白い息を眺める寒い冬の夜。温かいものが食べたい、でもあえてアイスを食べるのもいいな、なんて思いながらコンビニの前を通ると、『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)で、あーちん(安藤サクラ)、みーぽん(木南晴夏)、なっち(夏帆)の幼なじみ3人が、コンビニの外で駄弁っていたシーンを思い出す。
思えば、バカリズムが脚本を担当する作品は、冬との親和性が高い。『架空OL日記』(読売テレビ)の更衣室に設置されたヒーターの故障による騒動はもちろん、何度も描かれる私(升野英知)と真紀ちゃん(夏帆)の駅から職場までの冬の朝の通勤の様子。『侵入者たちの晩餐』(日本テレビ系)のおしゃれとは言えないニットやジャケット、コートの重ね着。番組編成の関係と言ってしまえばそれまでだが、そういった冬に見られる独特の習慣や光景が、作品を印象付けている。
1月12日から放送が開始する『ホットスポット』(日本テレビ系)の公開済み本編映像を見ても、ダウンジャケットやニットを着た登場人物たち、バックに映る冠雪した富士山、それを眺めながら入る温泉など、冷たい外気とそれを温めるぬくもりの心地よさを感じさせるありふれた日常がちりばめられている。

映像では、温度は伝えられない。それでも、なぜか温度を伴って私たちの頭の中にある冬の記憶と結びついてしまうのは、なんでもない日常のなかの細かい動作や会話の内容、ドラマとは思えないほどローテンションで重ねられていくセリフの応酬にある。そして、普通に日常を過ごしているだけの登場人物たちが、なぜか人生を何度もやり直したり、社長の家に侵入することになったり、とありえない展開に巻き込まれていく。自然すぎるミニマムな作劇と突飛な設定のギャップが、バカリズム脚本作品の魅力と言えるだろう。

『ホットスポット』には、過去にバカリズム脚本作品に出演した経験のある俳優たちが多く名を連ねている。『ブラッシュアップライフ』からは、夏帆や木南晴夏、ココリコの田中直樹、野呂佳代。『侵入者たちの晩餐』からは、平岩紙と東京03の角田晃広、池松壮亮、菊地凛子。『架空OL日記』からは、坂井真紀。バカリズム脚本作品ファンからすると、垂涎もののキャスティングだ。自然な会話劇を声に乗せて、さらなる可笑しみを与えてきた俳優たちが、富士山の麓の町でどう生き、宇宙人を前にしてどんな反応を見せるのだろうか。





















