『タカラのびいどろ』大ボリュームの特典映像を解説 岩瀬洋志と小西詠斗のギャップを堪能

『タカラのびいどろ』大ボリュームの特典解説

 人の心はガラス細工のように、脆くて壊れやすい。だから、触れるのも怖いけれど、そのぶん大切にしようと思えたら……。その先にある、眩ゆいほどのきらめきを見せてくれたのが、岩瀬洋志と小西詠斗がW主演を務めた連続ドラマ『タカラのびいどろ』だ。

 12月20日にBlu-ray&DVD-BOXとなって帰ってきた本作は、「BLアワード2023」コミック部門にて第3位に選出された、鈴丸みんたによる人気コミックを原作としたラブストーリー。ぶっきらぼうだけど面倒見がいい“クーデレ”先輩の志賀宝を、『新空港占拠』(日本テレビ系)や『南くんが恋人!?』(テレビ朝日系)で注目を浴びた岩瀬、天然でピュアな方言後輩の中野大進を、『ジェイミー』や『「進撃の巨人」-the Musical-』などミュージカルでも頭角を現す小西が演じた。

 物語は、福岡で暮らす大進(小西詠斗)が高3の時に泣いているところを慰めてくれた宝(岩瀬洋志)を追いかけ、東京の大学に進学。無事に再会を果たすも、冷たくあしらわれてしまうところから始まる。それでも宝が所属する登山サークルに入り、まっすぐに向き合っていく大進。原作の世界観を大事にしつつも、そこには描かれていないエピソードもふんだんに盛り込まれ、大進と宝の距離が少しずつ縮まっていく過程と、互いに影響し合うふたりの心の成長をスロウなテンポで繊細に描いた作品だった。

 そんな本作の裏側を知ることができるのが、Blu-ray&DVD-BOXに収録されている大ボリュームのメイキング映像だ。カメラはクランクインから出演者に密着し、約1カ月弱に及ぶ、本編に負けないくらいキラキラとした撮影風景を映し出していく。

 まず印象的だったのは、「志賀宝という役が決まった時は、自分と違い過ぎて本当にこれ大丈夫か?っていうふうに思った」(岩瀬)、「(大進と自分は)パッと見の雰囲気は近いかもしれないけど、中身はまるで違う」(小西)とそれぞれ語っているように、役とはまた違う主演ふたりの姿。ドラマではクールな表情を見せている岩瀬だが、密着カメラには屈託のない笑顔を見せており、役と真剣に向き合う小西の表情はキリッとしていて、少し抜けている大進を演じている時とのギャップを堪能できる。

 また役の上では岩瀬が先輩だが、実際は小西の方が4歳年上。そのため、岩瀬ははじめ敬語を使っていたが、小西が気を遣って「敬語じゃなくていいよ」と言ってくれたことを、今回のBlu-ray&DVD-BOXにも収録されている放送直前制作発表で明かしていた。撮影中もふたりはタメ口で楽しそうにお喋りしていて、実に新鮮だ。同時に、そうした役とはギャップのある部分がドラマにも良い影響を及ぼしているように感じる。

 というのも、ドラマでは先輩である宝が後輩の大進をリードしているようで、ふたりはあくまでも対等な関係だ。大進はいつも冷静で大人びた宝に憧れているが、こと人間関係においては不器用なところがある。母親に似て欲しいものへの執着が強いと感じている宝。大進が偶然知り合った中年男性から予期せぬ好意を向けられたように、その執着はときに誰かを傷つけるものだと知っているからこそ、他人との間に壁を作って踏み込まないようにしていた。

 そんな宝の心を動かすのが大進だ。他人を疑うことを知らない大進は側から見ると少し心配になるけれど、「先輩が自分のこと怖いなんて思わないようにしたいです」と、その濁りのないビー玉のようなピュアな瞳に、本当は誰よりも繊細で優しい宝の姿を映し出す。そういう宝の人間味のある部分を、岩瀬の持つ無邪気さが、一見頼りなげな大進が持っている芯の強さを、小西のしっかり者な一面が補強しているのではないだろうか。

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