中島健人はいくつの顔を持っているのか 『コンビニ兄弟』で体現する“特大のギャップ”

『コンビニ兄弟』中島健人の特大のギャップ

 「いったい、いくつの顔を持っているんだろう」――NHKで放送中のドラマ『コンビニ兄弟 テンダネス門司港こがね村店』での中島健人を見ていて、そう感じた。

 同作は、九州に展開するコンビニチェーン「テンダネス」の門司港こがね村店が舞台。同店舗は、ほかの店舗と比べて売り上げはいつもトップクラス。その一因は、勤勉な上に老若男女をとりこにする魔性のフェロモンだだ漏れ店長・志波三彦の影響で……という物語。さらに、この物語には、もう一人の重要人物も。それは、いつも軽トラで乗りつけ、山盛りの弁当や食料を購入し、イートインコーナーでしっかり完食。背中には「なんでも野郎」のロゴ入りの緑のつなぎを着る謎の男・通称ツギだ。

 この三彦とツギは、実は兄弟なのだが、見た目があまりにも違いすぎる。三彦は、まさにステージの上での“ケンティー”に近い王子様のような王道の美しさを放つ。一方、ツギこと二彦は髪はボサボサ無精ひげ、野性味あふれる風貌。そんな相反するキャラクターの三彦とツギを一人二役で演じているのが、中島健人である。

 中島といえば、これまでも映画やドラマでさまざまな顔を見せてきた。

 たとえば、2025年に公開された映画『知らないカノジョ』では、大学生で小説家志望の神林リクを演じた中島。そこでは、彼が好む壮大なSF作品の劇中劇にも挑戦しているし、いわば今の人生とは異なる選択をした別の人生を歩む姿、パラレルワールドにいる姿を演じている。片方の世界では、すべてがうまく行っているリク、もう1つの世界では出版社の下っ端社員であるリク。その姿は、あまりにも違い、どちらの世界線のリクを演じる中島も人間味が溢れていることが印象的だった。

 作品内だけでなく、似たような立場であれど表情を変えることも、もちろんある。

 たとえば、2021年に放送された『彼女はキレイだった』(カンテレ・フジテレビ系)では、絵に描いたような“俺様”な副編集長兼クリエイティブ・ディレクター・長谷部宗介と、同じく“偉い人”の立場であるものの、2024年7月期のドラマ『しょせん他人事ですから 〜とある弁護士の本音の仕事』(テレ東系)での保田理とは大違い。

 わかりやすくいうならば、長谷部はどちらかといえばクールで鼻に付く感じなのだが、保田は口を大きく開いて歯を見せるチャーミングさがありつつも、とにかくクセが強いキャラクター。

 このように求められる役によって、表情を変えるのは中島の特技とも言える。それはきっと「ケンティー」という絶対的自己プロデュースをしたアイドル像を確立し、その上で楽曲によってコンセプトを変えることから培われた才能なのかもしれない。

 そういう意味では、三彦とツギを演じている放送中のドラマ『コンビニ兄弟』は、どんなキャラクターだろうと、真剣にやりきれる中島だからこそできるもの。全10回、ここから中島は三彦として、それからツギとしてどんな表情を見せてくれるのか、楽しみだ。

■放送情報
ドラマ10『コンビニ兄弟 テンダネス門司港こがね村店』
NHK総合にて、毎週火曜22:00~22:45放送(全10回)
※毎週木曜24:35~25:20再放送
NHK ONE(新NHKプラス)で同時・見逃し配信予定
出演:中島健人、田中麗奈、鈴木福、嵐莉菜、馬場徹、齋藤潤、泉澤祐希、曽田陵介、どくさいスイッチ企画、ジョージアナ・ジェッテ、田中偉登、石川恋、仲島有彩、松金よね子、大島蓉子、街田しおん、光石研、萬田久子、中原丈雄、柄本明、舘ひろしほか
原作:町田そのこ
脚本:根本ノンジ
主題歌:藤井フミヤ「ココロ」(作詞:藤井フミヤ、作曲・編曲:大島賢治、ホーンアレンジ:竹上良成)
音楽:R・O・N、川田瑠夏
制作統括:山本敏彦(NHKエンタープライズ)、石澤かおる(NHK)
プロデューサー:室谷拡(NHKエンタープライズ)
演出:木村隆文、野口雄大、岡野宏信(NHKエンタープライズ)
写真提供=NHK

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる