吉岡里帆が丁寧に積み上げてきた“女狐”の過去と孤独 『豊臣兄弟!』もキャリアの重要作に

『豊臣兄弟!』吉岡里帆の代表作に

 NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』第19回「過去からの刺客」は、慶を演じる吉岡里帆にとっての主役回だ。

 吉岡は、池松壮亮が演じる豊臣秀吉をはじめ、寧々、直と同じタイミングで出演者発表会見が開かれたメインキャストだ。豊臣秀長(仲野太賀)の正妻として生涯をともに歩む慶を演じる吉岡は、映画『泣く子はいねぇが』(2020年)でも仲野と夫婦役で共演している。

 その発表会見が開かれた2024年10月時点ではまだ脚本が完成していなかったため、打ち合わせで「もしかしたら仲が悪い夫婦の可能性もあります」と言われたと、吉岡は心配そうに話していた。しかし残念ながら、その予感は現在のところ的中してしまっている。

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 第13回より本格登場となった慶は、“疑惑の花嫁”として初回から異彩を放っていた。織田信長(小栗旬)からの命を受け、小一郎は慶との縁談を受け入れる。直(白石聖)を亡くしたばかりの小一郎と、夫を亡くした後家の慶。似たもの同士で通じ合うところもあると思われたが、寧々(浜辺美波)は、慶が男を銭で買い漁りたぶらかす“女狐”だという噂を聞いていた。

 小一郎のもとに慶が嫁いでくると、女好きの藤吉郎(池松壮亮)はもちろんのこと、弥助(上川周作)、甚助(前原瑞樹)までもがたちまち翻弄されてしまう。噂にたがわぬ妖艶さが醸し出されていた。

 慶の前の夫は、美濃の斎藤家に仕えた重臣だったが、稲葉山での戦いで討ち死にしている。さらに、父・守就(田中哲司)が織田に寝返るきっかけを作った小一郎は、慶にとってまさに敵であった。「復讐しようとは考えておりませぬ。そのようなことをすれば、生きていけませぬ故。この身はあなたに差し出します」と誓う一方で、「心はお前たち織田の者には、指一本たりとも触れさせぬ!」と、慶は鋭い眼光で小一郎を睨みつけた。

 第14回では義母にあたるなか(坂井真紀)から「あんたはきっとあたしたちにええことを運んでくれる弁天様なんじゃわ」と歓迎されるも、慶は困惑したまま。第15回では、戦に出る小一郎に対して、よそに嫁がされるのは面倒という理由から「ご無事でお戻りください」と声をかけた。

 時が経ち、秀吉と小一郎が羽柴姓を名乗るようになった第18回でも、いまだにとも(宮澤エマ)たち家族とはぎくしゃくしたままだ。あさひ(倉沢杏菜)が聞いた「身体に刀で斬られた傷跡がある」という噂には、夫である小一郎も驚いていた。それは、夫婦関係が完全に冷めきっていることを示している。

 第13回以降、出番は多くはないものの、小一郎や家族の温かさに触れて少しずつ心を動かしてきた慶。ただ、そこには変わらず怒りや憎しみ、嫌悪が見え隠れしている。第18回で噂になっていた傷跡は、第13回で慶が鏡で肩を確認する姿とリンクする。

 第19回の予告では慶の子らしき人物が登場しているが、以前にも、ともの息子・万丸(小時田咲空)と遊ぶ小一郎の姿に慶が動揺を見せるシーンがあった。第16回でも、宮部継潤(ドンペイ)に養子として引き渡された万丸の近況に涙するともと弥助の様子を、慶がじっと見つめる姿があった。男と密通する姿など、ミステリアスな影がまだ色濃く残る慶だが、吉岡がInstagramで「雪解け回」と明かしているように、第19回ではその謎の数々が明かされていくだろう。

 共演者の白石聖や浜辺美波のInstagramにもコメントを残し、キャスト間での仲睦まじい関係性を滲ませている吉岡。『泣く子はいねぇが』では仲野と険悪な夫婦役となったが、第19回からは仲睦まじい夫婦関係を築くことができるのか。

 大河ドラマ初出演となる吉岡にとって、慶が新たな代表作となるのは間違いない。映画『シャドウワーク』や、ドラマ10『デンジャラス』(NHK総合)といった主演作が控えている中での大切な役であり、彼女のキャリアにとっても重要な期間になりそうだ。

■放送情報
大河ドラマ『豊臣兄弟!』
NHK総合にて、毎週日曜20:00〜放送/毎週土曜13:05〜再放送
NHK BSにて、毎週日曜18:00〜放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15〜放送/毎週日曜18:00〜再放送
出演:仲野太賀、池松壮亮、吉岡里帆、浜辺美波、白石 聖、坂井真紀、宮澤エマ、倉沢杏菜
大東駿介、松下洸平、中島歩、要潤、山口馬木也、宮﨑あおい、小栗旬ほか
語り:安藤サクラ
脚本:八津弘幸
制作統括:松川博敬、堀内裕介
演出:渡邊良雄、渡辺哲也、田中正
音楽:木村秀彬
時代考証:黒田基樹、柴裕之
プロデューサー:高橋優香子、舟橋哲男、吉岡和彦(展開・プロモーション)、国友茜(広報)
写真提供=NHK

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