『わたしの宝物』「余計なことしてごめんなさい」のオンパレード 宏樹に戻った“穏やかさ”
「余計なことしてごめんなさい」のオンパレードとなった『わたしの宝物』(フジテレビ系)第9話。
美羽(松本若菜)に接触し「薄汚い不倫」だと捲し立て、水までふっかける水木(さとうほなみ)はお門違いもいいところで、常軌を逸している。水木にとって冬月(深澤辰哉)は大切なビジネスパートナーであり自身が好意を寄せる人だが、あくまで好意は一方的。さらになんと言っても美羽の夫・宏樹(田中圭)には、今まさに自分たちの会社への融資を検討してもらっている真っ最中。そんな中、どうしてあのような言動に出ようと思ったのか。
また、水木が冬月を他人に取られたくないという想いから、下原(持田将史/s**t kingz)の死亡報道ではなく冬月についての誤報が流れることに繋がった。美羽が托卵まで決意したのは、冬月が亡くなってしまったと知った日に自分のお腹に宿っていることがわかった新しい命に、運命的なものや使命に近しいものを感じたところも大いにあるだろう。そう思うと、誰かがついた小さな嘘が巡り巡って、誰かの大きな決断に間接的に影響を与えてしまうことがあるのだと思い知らされる。自分がついた嘘への後悔があるからこそ、水木は美羽にきつく当たってしまうのかもしれないが、それはあまりに身勝手だ。美羽と冬月の件を騒ぎ立てれば騒ぎ立てるほどに、宏樹の会社から自社への融資が遠ざかるという想像はできなかったのだろうか。
そして、なんといってもお節介な暴走を見せていた真琴(恒松祐里)も、自分の稚拙さやデリカシーのなさにようやく思い至ったようだ。真琴も栞の今後や将来のことなんてお構いなしで、自分の断罪意識をそのままぶつけるだけぶつける、大人げのなさを見せていた。
良し悪しではなく、確実に世間から後ろ指を指されかねないことに踏み切った人の覚悟や決意を、当事者以外の周囲が咎めたりジャッジを下すことなどおこがましい。ただ「私は余計なことをしました。申し訳ありません」と宏樹に頭を下げた冬月のそれは、前述の2人のそれとは違ってまた切ない。