小関裕太は恋愛ドラマに欠かせない俳優だ 『あのクズ』大葉にもどうか幸せを
「佐藤のことがずっと好きだった」
「というか、超好きだ」
「佐藤のこと支えるの、俺じゃだめかな」
現在放送中の『あのクズを殴ってやりたいんだ』(TBS系/以下、『あのクズ』)の第7話終盤、この少女マンガのようなセリフに心を奪われてしまった人は多かったのではないだろうか。
これまで海里(玉森裕太)とは対照的にほこ美(奈緒)を包み込むような優しさで見守っていたが、ここにきて長年のほこ美への想いを隠さなくなり、海里の“恋のライバル”として大きな存在感を見せている大葉。そんな彼を演じているのが、小関裕太だ。
大葉は、ほこ美と同じ市役所に勤める公務員で、市長直轄の部署に所属する若きエース。周りと協調しながら仕事を進めることができるため周囲からも信頼され、一目置かれている。その一方で、ほこ美へ嫌がらせをするようになってしまった撫(玉井詩織)の行動をやんわりと注意するなど、穏やかだが正義感の強い真面目な性格の持ち主で、なんだかほこ美とは似たもの同士だ。だからなのか、大葉は実直な彼女の姿勢と仕事ぶりを評価しており、何かと気にかけていた。
だが、その場に合わせた言動でうまく立ち回る大葉の気質は、恋愛には不利になるよう。同僚としての大葉を演じる時の小関は、もともと持っている優しげな雰囲気を全開にして、ほこ美と気軽に接していたがその分、大葉が彼女に恋愛感情を持っているかはちょっとわかりにくかったし、もちろん、ほこ美も大葉の気持ちには気がついていなかった。
だからこそ、冒頭のセリフによってストレートに伝えられた熱い気持ちは、大葉の“本気度”が伝わってきてドキドキする。でもほこ美をずっと見てきた大葉が、彼女の本当の気持ちに気が付いていないはずはない。どこかで“報われないかも”と思ってしまう自分を鼓舞するかのように、小さくぐっと気合を入れてほこ美にアプローチする大葉の姿に恋の成就を願い、ほこ美に「大葉さんの方がほこ美のことを大事にしてくれるよ!」と声をかけたくなってしまう。
このように細かい仕草にまで気を配り、人間のいろいろな側面を繊細に表現できる小関と、『あのクズ』のような自分でも気がつかなかったような複雑な感情が生まれ、そこへ相手の感情も絡まってくる恋愛ドラマとの相性は最高である。