『ライオンの隠れ家』柳楽優弥の凄さが伝わる一瞬の表情 ちりばめれた点が少しずつ線に

『ライオンの隠れ家』ちりばめれた点が線に

 テレビのニュースで流れていた、山梨県での母子行方不明事件。その母親の名前が、姉と同じ“愛生”であることにピンときた洸人(柳楽優弥)は、そこで報じられた“愁人”という子どもの名前でライオン(佐藤大空)を呼ぶ。するとライオンは反射的に返事をし、すぐに我に返ると「僕はライオンだもん」と言って布団に潜ってしまう。10月25日に放送された『ライオンの隠れ家』(TBS系)第3話で、ようやく小森家パートと山梨県パートが繋がることになる。

 行方不明事件について調べる洸人は、インターネット上の情報を整理しながら愛生の夫で愁人の父としてインタビューに応じている男性が、たちばな都市建設の社員である橘祥吾(向井理)であることにたどり着き、直接会いに行くことを決める。そんななか、美路人(坂東龍汰)が描いた絵が飾られるということで、土曜日の休みを利用して動物園へと出掛ける小森家の3人。そこで美路人は、ライブペインティングを行なうはずだったデザイン会社の同僚に代わり、壇上に上がるのである。

 今回のエピソードの前半部にあたる動物園の一連だけで、小森家の3人の物語の有りようがかたちづくられることになったといえよう。まずひとつは、ライオンと美路人の絆が確実に深まっていることが示されること。前回の公園とバスでの一件を含め、ライオンが家にやってきたことでルーティーンが乱されっぱなしで困惑していた美路人。しかし共に動物園のなかを駆け回る様子など、いつの間にか2人の間には兄弟のような関係が構築されていると見える。それは終盤で、美路人が初めて人の絵を描いたということでより確かなものとなるわけだ。

 もう一つは、洸人のなかに芽生える“気付き”である。ライオンと美路人が話す、野生のライオンは大人になれない(一説では、2歳ぐらいまで生き残れるのは全体の2割程度といわれている)という話から、ライオンが家に来た時の「この家にいれば安全?」という質問と、身体にあったあざ、そして例の事件について思いをめぐらす。この幾つかの“点”は、その後の山梨県でのシーンでナイトクラブに赴き橘祥吾の表情を見て抱く疑念のようなもので“線”へと変わることになる。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「リキャップ」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる