竜星涼は“愛されるお兄ちゃん”役が似合う 『潜入兄妹』は強みが生きた“THE ハマり役”

竜星涼は“愛されるお兄ちゃん”役が似合う

 一方で2023年の『VIVANT』(TBS系)では、主人公たちをマークする公安の部下役を演じた。クールな役だが尾行に度々失敗するなどポンコツキャラのイメージを植え付け視聴者を油断させておいて……と曲者役者ぶりを見事に発揮。『光る君へ』の藤原隆家役では、生まれながらの陽キャでありつつ計算高く、みやびな世界の中でとにかく異端児なキャラを竜星は活き活きと演じ、視聴者の目を釘付けにしている。元々キョウリュウジャーの頃から竜星が持つ真っ直ぐな熱血漢というブレない軸があり、それをどうカモフラージュしていくかで様々な役柄が演じられ、役によって体温を変えてすらいそうなほど、幅広く役を演じ分けられるのが竜星の強み。その強みが『潜入兄妹』で遺憾無く発揮されている。

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 『潜入兄妹』で演じる渡良瀬/円山貴一役は、元神奈川県警・巡査で、正義感と行動力を併せ持ち、何よりも妹のことを第一に考えているという役柄。初回では父親が殺害される前の闇のない優しいお兄ちゃんの演技から始まり、潜入捜査官になる前に独自で犯罪組織に立ち向かう際は殺戮マシンと化したような冷徹な表情を見せた。もはや感情のない闇堕ちした人間になったのかと思いきや、闇組織に入る説明会で意図しない妹が参加しているのに気づいた時の動揺ぶりは、実に人間味溢れる心配性のお兄ちゃんの表情だった。この演技があることで視聴者は感情移入をすることができる。

 今作はアジアンテイストな多国籍の世界観と、犯罪組織のアングラ感が色濃いノワール作品で、竜星が持つ“熱さ”が世界観に負けず、むしろ絶妙なバランスで溶け込んでいる。また、八木演じる妹・優貴がいることで貴一の人間味と竜星の演技の魅力がどんどん引き出され、愛されキャラに育っていくはずだ。ただ今作は騙し合いのドラマなので、これまでのキャラはいったいどこまでが本音なのか。もしかしたら、潜入捜査官になる前の無感情なキャラが真の正体の可能性もある。静かな演技も得意だが、大袈裟な世界観だと尚更光る役者でもあるので、どちらにも展開できるところが竜星の強みであり、今作がハマる理由だろう。

 また、今作は『大病院占拠』(日本テレビ系)『新空港占拠』(日本テレビ系)のチームが結集したオリジナル作品。特に『占拠』シリーズのフォーマットを引き継いでいるだけに、大人気となった櫻井翔演じる武蔵三郎刑事の後釜を担えるのかが心配されたが、武蔵は熱血漢で天然とも言える真っ直ぐさが視聴者に愛されたように、今作の兄妹も完璧に見えてけっこう隙のあるキャラだ。簡単に縛られてはピンチを迎え、妹の「兄ちゃん!」からの「最悪だ!」のコンボが定番になりつつあり、ツッコミどころはしっかりと引き継ぎ視聴者の期待に応えている。

 また、個人的にはアクションシーンはもちろんのこと、今作では長い廊下を歩いたり、毎回妹と並んで歩くシーンがあり、パリコレ経験のある竜星だけにランウェイのように歩く姿が実にカッコよく、見どころの一つとして楽しみにしている。そういった意味でも竜星涼の魅力が詰まりまくった今作でみんなから愛される国民的お兄ちゃんになれるのか、今後の演技に注目したい。

参考
※ https://www.tv-asahi.co.jp/kyouryu/interview/02/

■放送情報
土ドラ10『潜入兄妹 特殊詐欺特命捜査官』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜22:54放送
出演:竜星涼、八木莉可子、徳井優、入山杏奈、長尾純子、呉城久美、伊藤あさひ、岡井みおん、半田周平、フェルナンデス直行、神尾佑、及川光博
チーフプロデューサー:道坂忠久
プロデューサー:尾上貴洋
演出:大谷太郎、西村了(AX-ON)、茂山佳則(AX-ON)
脚本:福田哲平
音楽:ゲイリー芦屋
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
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