パラパラはギャル発祥の文化ではない? 朝ドラ『おむすび』で描かれるパラパラが持つ意味

朝ドラ『おむすび』のパラパラが持つ意味

 『おむすび』で描かれている2004年はトランス曲で踊るトラパラが生まれた頃で、第7話でルーリー(みりちゃむ)、タマッチ(谷藤海咲)、スズリン(岡本夏美)が披露したダンスはトラパラに属する振り付けのものだ。この頃には、ギャル雑誌で特集が組まれたり、イベントが開催されたり、振り付けビデオが販売されたりするようになったという。ちなみに、『おむすび』で、ギャル監修、パラパラ指導を担当しているRumiも、この時代にギャル雑誌『egg』の専属モデル・ルミリンゴとして活躍していた。

 筆者にとって印象深いのは、2006年に放送されたドラマ『ギャルサー』(日本テレビ系)。ギャルサー内で起きるトラブルなどが描かれ、戸田恵梨香や新垣結衣、鈴木えみらがギャル姿でパラパラを踊っていたのを覚えている。第4次パラパラブームとなる2000年代後半は、1990年代後半に比べれば落ち着いたものの、雑誌やドラマの影響もあり、変わらずギャルに憧れる若者がいた時代だ。

 パラパラは誰かが生み出したものに憧れ、自分もやりたい、誰かに伝えたいという想いによって続いた文化だということができる。『おむすび』の作中でリサポン(田村芽実)が平成ギャルそのものを愛しているように、ギャル文化自体が若者たちのカッコいい、かわいいという想いが繋いだ文化だ。同じものに憧れる同士だからこそ、博多ギャル連合(ハギャレン)メンバーは集まって“ミーツ”を行い、プリクラを撮り、パラパラを踊る。何のために? と思える時間は、同じ価値観を共有していると確かめあうための時間なのだろう。

 ギャルサーがそういった集まりである以上、未だギャルに嫌悪感を抱く結に対して、タマッチが心を開けないのは仕方がないこと。ハギャレンのメンバーは、ギャルの楽しさを伝えて仲間を集めるために、パラパラを練習している。同じ方向を向いていることを表すパラパラへの取り組みは、結がハギャレンメンバーとどう関わっていくのかを象徴するものになりそうだ。

参考
※ https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2021/08/01/kiji/20210801s00041000392000c.html
※ https://galture.com/trend/parapara.html

■放送情報
連続テレビ小説『おむすび』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:橋本環奈、松平健、麻生久美子、宮崎美子、北村有起哉、中村守里、田村芽実、みりちゃむ、岡本夏美、谷藤海咲、松本怜生
語り:リリー・フランキー
主題歌:B'z「イルミネーション」
脚本:根本ノンジ
制作統括:宇佐川隆史、真鍋斎
プロデューサー:管原浩
写真提供=NHK

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる