『虎に翼』井上祐貴が演じ分ける“二面性” 父との確執を乗り越える息子役の巧さ

『虎に翼』井上祐貴が演じ分ける“二面性"

「寅子さんと夫婦になれたから、子どもたちとももっと家族らしくなれるんじゃないかと」

 NHK連続テレビ小説『虎に翼』で航一(岡田将生)は、新潟に行く直前の寅子(伊藤沙莉)のように“家族の問題”があることを明かした。確かに星家はどことなくギクシャクしていて、場の空気を読むことに長けている優未(毎田暖乃)は早くから違和感を感じていた。そういうのが苦手な寅子でさえも航一の“家族の問題”に気がついたきっかけのひとつとなったのが、井上祐貴演じる朋一の行動である。

 朋一は法律の勉強をしている大学生。寅子の甥・直人(青山凌大)も法律の勉強をしていることを知ると、「寅子さんの甥っ子さんなら優秀なんでしょうね」と言ったが、妹ののどか(尾碕真花)からは、その発言が百合(余貴美子)からの「朋一さんも優秀なんですよ」という言葉を引き出すためだったと冗談混じりに指摘された。朋一は基本的には穏やかで賢そうだが、こうして時々自分に目を向けて欲しいような、子どもっぽいところを見せることがある。

 朋一とのどかの父・航一に対する接し方は正反対だ。のどかは比較的冷静で父との間に溝を作り、「もう何も変わらないのだ」と見捨てたような態度をとる。きっと、小さい頃の優未があのまま育っていたらこんな風になったのではないだろうか。さらに、溝を埋められそうになるとさらに溝を作っていくところは航一に似ていて、関係修復には時間がかかりそうである。

 一方の朋一は、父との関係にモヤモヤしているが何がそうさせるのかはよくわかっていないよう。かといって、父にどうして欲しいのかも分からず、朋一の中にはイライラだけが募っている。それが深夜の外での隠れ喫煙や突然、怒りを露わにする行動に繋がっているのではないだろうか。朋一はまだ心の中を整理できてないが故に、自分をうまくコントロールできていない。

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