『ドラゴンボール』から『ONE PIECE』まで ジャンプ作品の意外な声優交代を振り返る

ジャンプ作品の意外な声優交代を振り返る

 『シティーハンター』

 『シティーハンター』といえば、元々『週刊少年ジャンプ』で連載されていた北条司のハードボイルドアクションマンガ。その主人公・冴羽獠の声は、大御所声優の神谷明が務めており、2023年に公開されたアニメ最新作『劇場版シティーハンター 天使の涙』でも変わらぬ健在ぶりを示していた。“冴羽獠=神谷明”というイメージもあるくらいお馴染みの役柄だ。

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 しかしそんな同シリーズにおいて、例外的なキャスティングが行われた作品もある。そのタイトルは、2019年にフランスで制作された実写化作品『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』。フランス人キャストによって『シティーハンター』の世界観が忠実に再現された映画だったが、日本語吹き替え版では神谷ではなく山寺宏一が冴羽獠の声をあてている。

 2019年12月放送のラジオ番組『神谷明 TALK!×3』(CBCラジオ)では、神谷と山寺の口からこの交代劇についての裏話が明かされていた。神谷いわく、この役のオファーを受けていたが、さまざまな事情から辞退することにしたとのこと。そして自分の代役としては「山ちゃん(山寺)しかいない」と考えていたところ、実際に製作サイドから山寺の名前が挙がったのだという。

 片や山寺の方は、冴羽獠役は「神谷さん以外の人はやっちゃいけない」とまで考えていたため、オファーを受けた際には「なんで僕に?」と困惑。しかし『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』の打ち上げで神谷と同席した際、神谷から「頼むからやってよ」と直接頼み込まれたことで、覚悟を決めたそうだ。

 ちなみに若手時代の山寺は、1987年から始まった『シティーハンター』のTVアニメシリーズに名もなきモブキャラ役として何度も出演していた。それから数十年後の2019年に、『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』で作中のラスボスにあたる役に抜擢。さらには実写版で冴羽獠役を任されるに至った……という流れなので、とんでもない大出世を遂げていることが分かる。

 声優とキャラクターは表裏一体の存在。だからこそ、キャスト変更によってキャラクターの新たな魅力が見えてくることもあるはずだ。新旧声優による演技を比べて楽しむのもまた、長年作品を追いかけているファンの特権ではないだろうか。

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