『ブルーピリオド』『BLUE GIANT』『ブルーロック』 タイトルに“青”が入る作品はなぜ多い?
近年、アニメや漫画の世界で「青」をタイトルに冠した作品が次々と生まれている。『ブルーピリオド』『ブルーロック』『BLUE GIANT』――これらの作品は、若者たちの躍動感あふれる姿や、未来への希望、そして時に立ちはだかる困難を鮮やかに描き出す。いったい、なぜ「青」がこれほどまでに物語のタイトルとなり得るのだろうか。
そう考えた時に、夏の青空や深い海の青を差し置いて、多くの人々の心に真っ先に浮かぶのは、あの懐かしくも眩しい「青春」という言葉かもしれない。最近では、訓読みの「アオハル」という言葉も広まりを見せた。この広まりには、『週刊ヤングジャンプ』増刊の『アオハル』を刊行した集英社の影響も無視できない。
同じく集英社が原作を刊行し、アニメもヒットした『アオハライド』は、青を冠した青春ストーリーの一つと言えるだろう。「青」を題材にした作品は現在も続々と登場しており、例えば『週刊少年ジャンプ』で連載中の三浦糀作『アオのハコ』もその一つ。2024年10月よりアニメ化する本作が、映像としてどんな“アオハル”を描き出すのか、楽しみなところだ。
『アオのハコ』はアニメと相性抜群? ジャンプ史に残る恋愛漫画の映像化に期待すること
11月20日、『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載中の漫画『アオのハコ』のアニメ化が発表された。本作のアニメ化に関しては12月1…
とはいえ、こうした青春の意味合いだけが「青」に込められているというわけではない。美大受験をテーマに、アニメ・実写ともに高い人気を集めている『ブルーピリオド』を例に取ってみよう。この作品のタイトルは、若い頃のピカソが友人を亡くし、人生の苦しみや社会の暗い面と向き合った「青の時代」から取られている。作品では、主人公たちが美術の世界で自分探しをする姿が描かれるが、ピカソの「青の時代」が表す孤独や不安、そして芸術への強い思いとよく似ている。ここでの青という色は、若者の心の中の葛藤と芸術を追求する姿を表現する手段として使われているのだ。
厳しい現実や作品制作の苦悩をありのまま表現 『ブルーピリオド』が問う“芸術とは何か”
講談社『アフタヌーン』で連載中の漫画を原作としたTVアニメ『ブルーピリオド』が、現在放送されている。ある男子高校生が美術の魅力に…
一方、ジャズの世界で高みを目指す学生たちを描く『BLUE GIANT』は、天文学の言葉を使って主人公の大きな夢を表現している。「青色巨星」という、高温な星になぞらえて、「ジャズ界で一番になりたい」という主人公・宮本大の姿を描いている。この作品では、「青」が単なる色ではなく、最高の技術やジャズ界のトップを表す言葉として使われている。