もし『キングダム』で一騎討ちトーナメントをしたら誰が最強? 武道家が真剣に予想

『キングダム』一騎討ちトーナメントを妄想

 1回戦第3試合、麃公VS羌瘣。将軍・麃公相手に運動量で攪乱し、羌瘣は食い下がる。麃公はともかく、馬が羌瘣の動きについていけない。だが、次第に羌瘣の動きが鈍くなる。羌瘣唯一の弱点とも言える、スタミナ切れを起こしたようだ。動きの止まった羌瘣の剣を矛で弾き飛ばし、矛を喉元に突き付け、麃公は降参を迫る。姉貴分・羌象(山本千尋)の仇を討つまでは死ねない羌瘣は、負けを認める。麃公は、羌瘣に話しかける。「羌瘣、亜水まで来い。酒を飲むぞ」「いや、あなたはこの後2回戦が……」「羌瘣。酒じゃア……!!」聞いちゃいねえ。

 1回戦第4試合、龐煖VS謄。王騎の側近である謄にとって、その王騎の許嫁を殺した龐煖は、同じく憎むべき相手である。得意の「ファルファル」をフル回転させて龐煖に迫るが、大矛に弾き飛ばされ、トドメを刺される寸前で、レフェリー・昌文君が止めに入る。昌文君に救われた形となった謄だが、もしこの試合が、王騎が龐煖に殺された後に行われていたらどうなっていたか。謄は、勝てないまでも必ず刺し違えていたのではないか。

 準決勝第1試合、王騎VS信。1回戦の蒙武戦でのダメージが深い信は、短期決戦に出る。蒙武と同じく王騎も頭上からの攻撃に弱いと判断した信は、ハイジャンプからの打ち下ろしを狙う。だが、信が雑兵の頃から彼の戦いを見守ってきた王騎は、その攻撃を読んでいた。大矛で、頭上の信の胴を薙ぎ払う。誰もが真っ二つになった信を想像したが、信の胴体は繋がっている。王騎の斬撃は峰打ちだったのだ。だが峰打ちとは言え、王騎の横胴をまともに喰らったのだ。いくら打たれ強い信とは言え、無事では済まない。片側の肋骨はほぼすべて折れ、100mは吹き飛んで失神してしまった。“天下の大将軍”との一騎討ちを経て、信はさらなる急成長を遂げるはずだ。回復には、相当の時間を要するだろうが。

 準決勝第2試合、麃公VS龐煖。麃公が羌瘣を連れて亜水に酒を飲みに行ってしまったため、龐煖の不戦勝。闘志のやり場を失った龐煖は、爆発寸前だ。恐ろしくて誰も近づけない。唯一李朴だけが、必死になだめている。ちなみに麃公は、勝負から逃げたわけではない。人の話を聞かない麃公は、この大会がトーナメントであることを理解していなかっただけだ。きっと前夜に、「いいですか、麃公様。明日の大会で勝利するには3試合し」「酒じゃア!!」「(聞いちゃいねえ!)」みたいなやり取りがあったと思われる。

 宮女たちによる美しい舞いが披露された後、いよいよ決勝戦が始まる。王騎VS龐煖である。映画では、邪魔が入り腑に落ちない結果となったこの戦いに、完全決着がつくのだ。この戦いにレフェリーはいらない。そもそも、錯綜する大矛に巻き込まれて危険だ。昌文君にはご退場願おう。本来勝敗の行方なんて、第三者に委ねるものではない。戦った2人が、いちばんわかっているはずだ。

 筆者も一応“武”を嗜んではいる。だが自分自身の戦力を客観的に判断した結果、せいぜい伍長ぐらいのものだと思われる。澤圭(濱津隆之)や尾平(岡山天音)と同レベルだ。伍長レベルの人間が、天下の大将軍と武神の対戦結果を予想するなど、おこがましいにも程がある。筆者は、ただの観客に回る。王騎将軍と龐煖の美しい戦いを、永遠に観ていたい。できるだけ、近くで観ていたい。結果、大矛に巻き込まれても悔いはない。

■公開情報
『キングダム 大将軍の帰還』
全国公開中
出演:山﨑賢人、吉沢亮、橋本環奈、清野菜名、玉木宏、佐藤浩市、小栗旬、吉川晃司、大沢たかおほか
監督:佐藤信介
脚本:黒岩勉・原泰久
音楽:やまだ豊
主題歌:ONE OK ROCK 「Delusion:All」(Fueled By Ramen / Warner Music Japan)
原作:原泰久『キングダム』(集英社『週刊ヤングジャンプ』連載)
配給:東宝
©︎原泰久/集英社 ©︎2024映画「キングダム」製作委員会
公式サイト:https://kingdom-the-movie.jp/
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/kingdomthemovie
公式Instagram:https://www.instagram.com/kingdom_movie/

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