『デッドプール&ウルヴァリン』異例の大ヒット 『ジョーカー』の記録を抜き去る見込み
映画『デッドプール&ウルヴァリン』が常識はずれの大ヒットを続けている。8月2~4日の北米週末ランキングでは、前週に続いてNo.1の座をキープ。3日間の興行収入は9700万ドルで、公開から10日間の興収成績は3億9557万ドルとなった。
2度目の週末興収として、9700万ドルという数字は『バービー』(2023年)を抜いて歴代第8位。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)史上5番目の成績となった。前週からの下落率はマイナス54.1%で、これはスーパーヒーロー映画としては異例の結果。マーベル・DCを問わず、コミック原作映画は公開直後にファンが集中する傾向にあり、2週目にマイナス60%以上の下落を示すことも少なくない。
もちろん『デッドプール&ウルヴァリン』もサプライズ要素が多い映画であり、同様の傾向となる可能性は高かった。しかしライアン・レイノルズ演じるデッドプール&ヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンの人気と、批評家・観客の高評価がジンクスを破ったのだろう。今後、北米興収は5億ドルを突破するものと予測されている。
海外興収は4億2850万ドルで、全世界累計興収は8億2407万ドル。早くも10億ドルの大台突破は確実となった。すでに本作は、北米興収・世界興収ともに『デッドプール』(2016年)と『デッドプール2』(2018年)を超えてシリーズ最高のヒット作となっている。
R指定映画として、本作は北米でメル・ギブソン監督作品『パッション』の3億7078万ドルを超えて歴代興収記録を更新。世界興収の歴代記録は『ジョーカー』(2019年)の10億7895万ドルが保持し、『オッペンハイマー』(2023年)の9億7529万ドルがこれに続くが、これらも向こう1~2週間で抜き去る見込みだ。『ジョーカー』の続編映画『ジョーカー:フォ・リ・アドゥ』も今年10月公開だが、『デッドプール&ウルヴァリン』という強敵を相手にどこまで戦えるか?
なお、今夏のディズニー作品は『インサイド・ヘッド2』も同様の大ヒットを記録しており、北米興収6億2686万ドル、世界興収15億5506万ドルで、ともにアニメーション映画の歴代記録を更新。『デッドプール&ウルヴァリン』と『インサイド・ヘッド2』のブーストを受け、ディズニーは今年初めて世界興収30億ドルを突破したスタジオとなっている。
週末ランキングの第2位は『ツイスターズ』で、3日間の興行収入は2265万ドル。前週比はマイナス35.3%と粘り強く、北米興収2億ドル突破が近づいている。第4位『怪盗グルーとミニオン超変身』も公開5週目で北米興収3億ドルを超えた。
これら大作映画のヒットを受け、2024年7月は、『バービー』と『オッペンハイマー』が成功した2023年7月以来、1年ぶりに北米月間興収が10億ドルを超えた月となった。それでも上半期の停滞ぶりを挽回できてはおらず、年間興収は前年比83.5%(同時期比)。前年のストライキの影響は下半期も続くとみられるだけに、業界全体の状況はいまだ明るいとは言いにくい。