『ゆるキャン△』作画変更にみる“原作リスペクト”の姿勢 より強まった聖地巡礼の魅力

『ゆるキャン△』作画変更を考える

東山奈央「現地の空気感や雰囲気が、より繊細に描かれている」

 『ゆるキャン△』は実在する場所やスポットを舞台としており、背景デザインで表現された“景色”や“聖地巡礼”が楽しめるのも大きな魅力だ。第3期からはこの「背景デザイン」にも変化があった。以前のシリーズに比べ“実写感”が増しているのだ。同じく4月期に放送されていた『変人のサラダボウル』のOPのように完全な実写背景ではないが、キャラクターがそこに存在するかのような親近感がある。 

 その件について、アニメシリーズで志摩リンを演じている東山奈央は、「先日登坂監督とゆっくりお話した際に、今まで出てきたリンのおうちだったり、それぞれの場面だったりを、改めてロケハンに行かれたそうです。資料ではなく、登坂監督のチームのみなさんが実際にご覧になったことで感じた現地の空気感や雰囲気が、より繊細に描かれているだろうなと」と明かしている。(※2)

 “実写感”のある背景は『ゆるキャン△ SEASON3』のエイトビットが手がけた『ヤマノススメ』でも用いられた。高尾山など実在する名所が登場し、『ゆるキャン△』と重なる部分も多い本作のリアルな背景は、実際に私たちも登山を楽しんでいるような躍動感を感じさせた。

 各務原なでしこを演じている花守ゆみりも、「時々完成している絵がアフレコ映像に入っていることもありますが、それが本当に繊細すぎて『写真かな?』って思った話を現場で何度もしていて」と語っていた。(※3)しかし、この変更によって「人物」と「景色」の両方で楽しめる、「本格的なゆるキャンプ」作品となったと言えるだろう。

 スタッフ陣の作品に対するこだわりや原作へのリスペクトは、きっと視聴者にも伝わるアニメ第3期だったのではないか。

参照
※1 https://yurucamp.jp/third/
※2 https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1712630721
※3 https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1712630721

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