『バッドボーイズ RIDE OR DIE』にみた映画のマジック “バカになれ!”精神で新風吹き込む

『バッドボーイズ』第4弾のバカバカしさ

 そしてもちろん、アクションも抜群にいい。特にクライマックスの楽しさたるや。主人公らが最終決戦の舞台に向かう途中で「え~、敵は潰れたワニ園を拠点に使っていて、そこには全長4~5メートルの巨大な白ワニがいます」と言い出したとき、内心で私は「よし、勝った」と思った。映画は勝ち負けではないが、「勝った」と思わざるを得なかった。そして、いざ銃撃戦が始まると、ビックリドッキリなカメラワークが連発。その仕込みが全て上手くいっているかは別として、とにかく勢いがハンパではない。成功するかは関係ない。なんと思われてもいい。とにかく試せることは全部試してやる! そんな気持ちが伝わってくるようだ。まさに「バカになれ」の精神である。特に(これは観た人だけが分かる表現になって恐縮だが)「ほいよ」と言わんばかりに、マイクとマーカスが軽快にアレを避けるシーンは拍手喝采したくなった。現実にはありえないのだが、映画の勢いに乗せられているせいで、「そういうこともできるよね」と思ってしまう。まさに映画のマジックだ。ちなみに、クライマックス前にアクションとギャグが見事に合体したシーンもある。ここは素直に爆笑してしまった。あのキャラを、まさかああいう形で活かすとは。監督は本当に『バッドボーイズ』が好きなのだろう。

 エンディングの(天下のBlack Eyed Peasさんたちには失礼を承知で、あえてこう言いたい)激安ダンスナンバーも心地よく、すっきり爽快な気持ちで劇場を後にできる。これから夏の超大作祭りが始まるが、その入口に相応しい。観終わったあとは気持ちがマイアミになるので、夏に向けてテンションを上げたい方、必見である。脂の乗ったウナギの丼ぶりみたいな映画だと思ってほしい。医学的根拠はゼロだが、マイアミ的根拠によれば観ると元気が出る映画だと断言できる。

■公開情報
『バッドボーイズ RIDE OR DIE』
全国公開中
監督:アディル・エル・アルビ、ビラル・ファラー
製作:ジェリー・ブラッカイマー、ウィル・スミス
出演:ウィル・スミス、マーティン・ローレンス、ヴァネッサ・ハジェンズ
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式サイト:https://www.badboys-movie.jp
公式X(旧Twitter):https://X.com/SonyPicsEiga

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