『光る君へ』藤原為時役・岸谷五朗は理想のお父さん? 視聴者の共感を呼ぶ困惑の表情

『光る君へ』岸谷五朗は理想のお父さん?

 NHK大河ドラマ『光る君へ』の主人公・まひろ(吉高由里子)は、父・藤原為時(岸谷五朗)が越前守に就任したことで越前に同行。宋の文化や政治に興味津々なまひろは、宋の商人らと行動をともにする見習い医師の周明(松下洸平)に宋の言葉を習いつつ、学者肌で融通が利かない為時を支えている。

 岸谷五朗が演じる為時は、越前の国守に任命されるまで不遇で約10年官職に就けず、一家は困窮する一方だった。真面目で世渡り下手なのは為時の美点でもあるが、越前守になれたのは、まひろが後押しして左大臣・道長(柄本佑)がまひろのために動いた結果。この時代、周囲が我れ先にどうにか出世しようと策略を練って右往左往しているなか、為時のような控えめで謙虚すぎる性格の貴族は完全に取り残されてしまうようだ。

 京に疫病が蔓延し、まひろが救護施設の悲田院で子どもたちの看病をしていて病に感染したときのこと。倒れたまひろを助けたのは、悲田院に立ち寄った道長だった。道長はまひろを抱きかかえると馬でまひろの家に向かい、突然「自分が看病する」と言って為時を遠ざけた。

 娘が高熱を出して意識を失い、馬で連れ帰って颯爽と表れたのが、あの道長様。いきなりの展開に唖然として、まひろのことはもちろん心配だが、道長がつきっきりで看病しているし、様子もよく分からず父親としてただ困惑を隠せない。こんなときの岸谷五朗の複雑で、微妙な表情は観る者の心に刺さる。

 道長が徹夜で看病した甲斐があって翌朝には、まひろの熱が下がった。為時は礼を言い、道長に帰宅を促したが、冷静を装いつつ、安心と困惑の入り交じった父親の表情が共感を呼んだ。

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